第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#9
闇夜の血闘 紅の魔術師VS幽血の統世王 〜Darker Than Darkness〜
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と想うと、
一瞬でその躯が今度は蜃気楼のように左右にブレ、そこから姿を消した。
「……ッッ!?」
眼前で起きた怪異に困惑したまま、滑りながら道路に着地したシャナの
黒衣の裾が舞い上がり、深紅の髪が火の粉を撒く。
「性急な事だ……」
「!!」
見開かれる、灼熱の双眸。
そのシャナの 「背後」 に、いつのまにかDIOが立っていた。
まるで異次元空間から、たったいま抜け出してきたかのように。
或いは空間を飛び越えて、「瞬間移動」 でもしたかのように。
「クッ!」
シャナは目の前の状況の分析しながらも、
素早く足裏のアスファルトを鋭く踏み切ってその男から距離をとる。
鼓動が、激しい警鐘を鳴らし続けていた。
「こい……つ……“こいつ” がッ!?
今! 私の目の前にいるこの男がッ!」
その男は、想像していたよりもずっと美しい風貌をしていた。
だがその男の顔の裏側は、この世のどんな罪人よりもドス黒く呪われていた。
その瞳の奥は、この世のありとあらゆる邪悪を焼きつけ、
王族のように優美なその指先は、数え切れないほどの多くの人間の
死と運命とを弄んできた。
何年も。何年も……
何人も。何人も……
そしてその存在が、いま世界の歪みを増大させている。
「私の目の前にいる! この男がッ!」
「馬鹿な……」
胸元で、アラストールも動揺を押し隠せないらしい。
多くの紅世の徒、例え王であったとしても自分の存在は
なるべく隠そうとするのが普通だ。
自由に好き勝手に暴れ回っていれば、すぐに自分達フレイムヘイズに
その居場所を察知され、残らず討滅されてしまうからだ。
“封絶” も 『トーチ』 も、その事を回避する為に生まれた術。
それなのに、目の前のこの男は、
自分を追っている 『天敵』 の前にあっさりとその身を現した。
「この者が……幽血の……統世王……!」
「DIOッッ!!」
シャナは大刀を両手に構え、大地に屹立した。
燃え上がる灼眼は鋭くDIOを射抜いている。
「封・絶ッッ!!」
その小さく可憐な口唇から勇ましい猛りが湧き上がると共に、
シャナの足下から火線が走り道路の上に奇怪な文字列からなる紋章が描かれた。
シャナとDIOを中心にして、紅いドーム状の陽炎が形成される。
「 “封絶” ……因果孤立空間か。なかなか面白い 「能力」 を持っているね?
君達 “紅世の徒” は。ひとつ……それを私に見せてくれると嬉しいのだが」
穏やかな声に、心臓の凍る思いがした。
しかし同時に、心の一部分がその声に強く惹かれ形を蕩かす。
「……!!」
刹那とはいえ、心を魅入られた自分自身に凄まじい
まさに燃えるような怒りを感じ、風
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