第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#9
闇夜の血闘 紅の魔術師VS幽血の統世王 〜Darker Than Darkness〜
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厳粛な声が開く。
「空条 承太郎よ。実は、このような事が在った……」
シャナの代わりに、胸元のアラストールが静かな言葉で語り始めた。
「ほんの四ヶ月ほど前……我らは北米の地で、彼の者、
『幽血の統世王』 と邂逅したのだ」
「何ッ!?」
アラストールのその言葉に、承太郎が両眼を見開く。
(……ッッ!!)
追憶の欠片が、少女の脳裏に甦る。
シャナは、思い返していた。
自分の受けた 「屈辱」 を。
【3】
それは、ニューヨークのスラム街で犯罪者の魂を好んで喰らう
紅世の徒を討滅した帰りの事だった。
売店でクレープを買い目元と口元を綻ばせながらジョースター邸への
帰路についていたシャナの前に、その男は何の脈絡もなくいきなり現れた。
まるで、定められた運命であるかの如く。
人気のない路地、煌々と点る夜の街灯の下にその男は背を凭れ、
両腕を組んで静かに立っていた。
心の中心に忍び込んでくるような凍りつく眼差し。
黄金の美しい頭髪。
透き通るような白い肌。
男のモノとは想えない妖しい色気が、首筋に塗られた
成分の解らない香油によって増幅されている。
華美な装飾はないが良質な絹で仕立てられた、
古代ペルシアの王族がその身に纏うような衣服を着ていた。
(!!)
シャナは、すぐに解った。
その時はもう既にジョセフと知り合っていたので
こいつが大西洋の海の底から甦った男、
『DIO』 だと。
「……」
月影に反照し官能的に光る口唇をおもむろに開くと、
その男は静かにシャナに向かって話し始めた。
「古き友を訪ねてこの地に来たが……まさか君と逢えるとはな……
初めまして 『紅の魔術師』 ……いや……
“炎髪灼眼の討ち手” と言ったほうが良いのかな……?」
「ッッ!?」
その男を、 “本当に恐ろしい” と想ったのはその時だった。
男が話しかけてくるその言葉は、心が安らいだ。
まるで魔薬のように危険な甘さが、そこには在った。
しかし、 “だからこそ” 恐ろしかった。
「全く驚いた……私の配下の 『スタンド使い』 を始末した魔術師が……
まさか本当にこんな可愛らしいお嬢さんだったとは……」
「ッッ!!」
DIOの言葉が終わる前にシャナは足裏を爆発させて跳んでいた。
刹那に身を覆った黒衣の内側から抜き出した大太刀、
贄殿遮那が空気を切り裂く空中で髪と瞳が炎髪灼眼に変貌する。
「でやぁぁぁぁッッ!!」
「フッ」
至近距離で唸りを上げながら迫る、大太刀刺突の一閃。
ソレが、DIOの姿を刺し貫く瞬間。
そのDIOの全身が、まるで陽炎のように揺らめいたか
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