幕間
第五十六話 幕間1
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
せに暮らせるであろう』との事です!」
人混みから興奮に沸く声が上がった。
「早速光の教団に入らなくちゃ」
「魔物に殺されて死ぬなんて嫌よ、私」
「末長く幸せに暮らしたい」
そんな声が次々に上がる中、デボラは無言で白けた目をネビラに向けていた。
どうもネビラの言葉は嘘くさく、芝居がかかっているように感じられたのだ。
それに世界が滅びるなんて予言が下されたというがそれは本当に下されたのか。
自分が何だと気になったものの正体は蓋を開ければ、なんて事はないただの嘘っぱち(真偽はどうあれデボラはそう思う)だったのだ。
随分と下らないものに時間を費やしたものだ。
そう思うと、ふと自然に欠伸が出てきてしまった。
そして、その欠伸は否応なしに目立ってしまった。
「……お嬢さん、貴女今欠伸しましたね?」
「ええ、そうよ。で?それがどうかしたの?」
「光の教団の私が、折角貴女達に救いの手を差しのべようと必死で神聖なる神の御言葉を説いているのにそれを欠伸をしながら聞くとは何事ですか!」
ネビラはそう脅すように怒るものの、デボラは全く怖いとは思わなかった。
むしろ相手の目を見据え、毅然とした態度でこう言い切った。
「そりゃ神聖なる神の御言葉ならきちんと聞くわよ。でもあんたのは全然神聖に聞こえなくて。神聖というよりはただの大仰な芝居のような感じね」
ネビラの瞳に冷たい怒りの炎が燃え上がった。ネビラは本気で怒ったらしい。
しかし、デボラは怯む事はなかった。
「……いいのですか。後悔する事になりますよ、お嬢さん?」
「私ね、生まれてからこれまで一度も後悔した事がないの。だから後悔というものを教えてくれるのはありがたいわね」
皮肉たっぷりに言い放ちしばらくネビラの瞳を見ていたがネビラは視線をデボラから逸らし、町民の方に向けた。
「皆様!私は今非常に怒りを抱いています!私は懸命に皆様を救う言葉を説いていました。更に皆様を救う為に幾つもの道具を用意しました!しかしそんな私の努力はこの一人のお嬢さんの無礼な言葉で穢されてしまいました!こうなった以上はもう神はこのサラボナの人達を救おうとはしないでしょう!しかし私を恨まないでもらいたい!これはあなた達の一人が撒いた種であるのだから!」
そう叫ぶように言い、ネビラは荷馬車を引き連れ立ち去ろうとしたその時。
一陣の風が吹き、荷馬車の掛け布は舞い上がった。
中から見えたのは趣味の悪い壺や、紫の表紙の本、得体のしれいない文字で書かれた札、そして一体の石像だった。
その石像はーー。
「えっ?」
思わず声が口から漏れた。
自分の見たものが信じがたかったのだ。
あの石像あれはもしデボラが正しいとするのなら
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ