幕間
第五十六話 幕間1
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スですよ。本来粗暴な連中ですがこいつはギガンテスの中で珍しく知能がありましたのでね。今こうして更なる改良を加えているわけです」
「なるほど、ギガンテスか……。肉体的にはタフだし、知能もあるからろくな命令すら聞けないで困るという事にはならないだろう。よし、それを儂の副官にしよう」
「わかりました。ところで……イブール様こそどうですか?新たな信者観入の方は」
「うむ、それが中々思うようにいかないとの事だ。ゲマ、何か案はあるか?」
光の教団が信者を集めているのは理由がある。
彼らの主は、遠い昔に竜の神の怒りに触れ魔界の奥深くに封印された。
その封印を解く為に彼らはマーサというある特殊な能力を持つ女性を誘拐したのだが、マーサ自身は抵抗を続けている。
マーサが折れるのを待つには時間がかかるので、光の教団は別の手段を取ることにした。
信者を集め彼らの祈りで主の力を神の封印を破れるくらいにまで増幅させる為に彼らは信者を集めている。
しかし信者を観入させるにはただの宣伝ではなかなか信者が加入しない。信者を集める為に様々な工夫こそしているがそれが実を結ぶ事は少ないのだ。
数少ない成功例の内の一つにイブールの本というイブールの言葉を纏めた聖書のような物があり、これを読んだ者の大半が信者入りしたが、その絡繰りは単純なものでゲマが一種の精神操作の魔法をイブールの本にかけていただけのことだった。
今まではこれで信者数を増やしていったが、最近ではイブールの本自体の売れ行きが悪く成りつつある。
それ故に、イブールの本に代わる新たな手段を見つけなくてはいけなかった。
「そうですか……。ではこれを使ったらどうでしょうか」
ゲマはアベルの石像を指差した。
「この男を?しかしどうやって?」
「簡単な事ですよ。この石像を適当に守り神だなんだという謳い文句をつけて金持ち相手に売るのです。それに適当な物を御利益のある品物として合わせて売れば効果は増すでしょう。連中はとにかく金を使いたがりますからね。更に金持ちは愚かな輩が多いので不安を感じさせるような事を言えば直ぐに信者になるでしょう。とにかく品物を買わせる事が出来たら信者入りもほぼ確実だと思われます」
それを聞いて、イブールの表情が安心に緩んだ。
イブールは続けてゲマに聞いた。
「この男の石像を売るのは別に構わないが、この女の石像は売らなくていいのか?」
「これは売る必要がありません。この女は天空の勇者の血族でしてね。我らの手中にあった方が安泰でしょう」
「それもそうだな。では、儂はそろそろ行く」
「はい、わかりました。それでは」
イブールは部屋から立ち去り、薄暗く瘴気の漂う部屋に残されたのは能面のような笑みを貼り付けた魔導師のみだった。
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