第25話「しまい」
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か...。ねぇ、るーちゃん。」
遼が肯定すると、由紀は瑠璃に言い聞かせる。
今から姉に会う事、その姉がどんな状態でもしっかりすること。
まだ幼い少女には荷が重いが、気をしっかり持つように由紀は言い聞かせた。
「それじゃぁ、行こっか。」
「ああ。そうだな。」
言い聞かせた後、遼は二人を連れて先程の部屋に戻る。
「....りーさん。」
「..........。」
自分もかつては悠里と似た状態だったので、ただ心配するしかない由紀。
それを余所に、遼は黙ってドアを開ける。
「あら?遼君に由紀ちゃん。」
「...来たわね。」
まず遼が入り、続いて由紀が部屋に入る。
瑠璃は由紀の体に隠れるように入り、まだ悠里には気づかれていない。
「...由紀。」
「うん。..ほら、頑張ってっ!」
「っ......。」
由紀が瑠璃の背中を優しく叩き、後押しをする。
「っ...ぁ.....りー...ねー....。」
「「っ...!?」」
絞り出すように出たその声は、悠里を驚かせた。
...なぜか香織も驚いていたが...それは声を出せるようになっていたからである。
「っ...りーねー...!」
「...るー...ちゃん....?」
震える声で悠里は瑠璃を見、そしてぬいぐるみを再び見る。
...もう、ぬいぐるみが妹に見える事はなかった。
「わた、し...どうして....?」
「...それだけ、精神に負担が掛かってたのよ。...安心しなさい。貴女の妹は、こうして無事に生きているわよ。」
震えながらも、飛び込んできた瑠璃を抱きしめ返す悠里。
自分が今までどうして幻覚を見ていたのか恐れる悠里に、香織が優しくそう言った。
「...貴女が、助けてくれたんですか...?」
「...本当なら、もっと助けれたんだけどね...。貴女の妹だけでも助けれて良かったわ。」
思い出すのは自分が手に掛けた“まだ人間だった”人達。
香織も遼同様、それまで人を殺した事はなかった。
「...ありがとう、ございます....。」
「...でも、瑠璃ちゃんは今、あまり喋れないわ。恐怖で声が出なくなったみたいなの。さっき、貴女の名前を呼べたのは私も驚いたわ。」
「大丈夫です。...生きていてくれただけで、十分です...!」
涙を流しながら、瑠璃が生きていた事を心から喜ぶ悠里。
「...そう。...しばらく姉妹だけでゆっくり話し合いなさい。私達は部屋の外で待ってるわ。」
「はい...。」
そう言って、香織は遼と由紀を連れて部屋を出る。
「良かっ
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