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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第四十話 接待役は御免こうむります。
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万人の市民が、バーラト星域に出れば、そこには何千万人もの将兵が待っている。つまりお前と俺とだけの問題ではなくなるというわけだな」
この本部長閣下にはかなわないとヤンは思った。キャゼルヌ先輩も人を食ったような言い方をする名人だし、シトレ校長・・・・もとい、大将閣下も人を操作する達人であるが、この人はさらにその上を行く。
「さて、ヤン、俺も忙しい身なのでな、単刀直入に言おう。今度の会戦に当たってはお前にはシトレの幕僚となってもらう」
「つまり、古巣の第八艦隊に戻るというわけですか、それは粋な計らいをしてくださることで」
「茶化すな。ここからは真面目な話だぞ。いいか、俺は正直言うとロボスの奴に宇宙艦隊司令長官を任せるのにはいい加減うんざりしている。奴は老人ホームか在郷軍人会で太鼓腹を抱えて座っているべき人材だ。どうしてシトレの奴を抜擢しなかったのか、信じられん。俺は、人事部の脳みそは芽キャベツ並なんじゃないかと思うときがある」
ヤンは肩をすくめただけだった。
「そこでだ、今度の戦いが終わり次第、俺はシトレの奴を宇宙艦隊司令長官に抜擢したい。ロボスにはご退場願う。俺の言いたいことがわかるか?」
「まさかとは思いますが、ロボス閣下を暗殺なさるのではないでしょうね?それとも、またイゼルローン要塞攻防戦の時のような手品をするわけですか?」
「暗殺など中世のボルジア家の奴らにやらせておけ。あるいはジャック・クレマンのような狂信者共にな。俺はそんなことはせんぞ。お前の言うところの後者に近い意見だ。だが勘違いするな、俺はロボスの奴を降格させるために貴重な軍用艦艇を数千隻失わせることも、もっともっと貴重な将兵を無為に死なせることはせんぞ」
「では、どうしろと?」
「奴が失態するように差し向ける。いや、まぁ、なんだ、放っておいてもエラーをするような奴だからな。こっちが小細工をする必要はないと思うが、一応念のためだ」
なんだか妙な話になってきた。負けることはさせないが、これではまるでロボスを失脚させるためだけに戦うようなものではないか。そんな戦争に付き合わされる兵士はたまった物ではない。
「そう言う顔をするな、いや、いいんだぞ。お前がロボスを引きずり落とす方法を教えてくれるんなら、俺は奴を宇宙艦隊司令長官にしての作戦を立てずに済むんだからな。無駄な労力を割かなくて済む」
この人にはかなわない。いつの間にかにっちもさっちもいかなくなり引き受けざるを得ないところに誘い込まれている。
「・・・わかりましたよ、協力します」
「そうかそうか!」
本部長閣下はご満悦の表情で笑った。
「よしよし、ヤン。なら今から俺が話すことを聞いてくれ。なに、シトレの奴にはもう話してある。後はお前の意見を聞きたいと思っていたんだ」
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