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グランバニアは概ね平和……(リュカ伝その3.5えくすとらバージョン)
第57話:エリートは仕事で悩む。超エリートは私生活でも悩む。
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この国に昔から採取される強固な鉱石……グランバニア鉱石を、ドワーフの技術で加工しやすくしたのはザイルさんなのだ。
そのお陰でグランバニア兵の装備する武具は、一般で購入するよりも丈夫で扱いやすい。
しかも以前は加工しにくく、素材として適してなかったので誰も使用しようとはせず、チゾット山の片隅に無造作に捨てられてたのだ。
しかし今では貴重な鉱物資源として利用されており、他国へも高値で輸出している。
そんなザイルさんの助力を得ても、こんな欠陥武器しか作れないのは、ウィンチェスト等に才能がない事を表している。
しかしそれを認められないのがこの男なのだ。
ザイルさんを貶して自己を保つ事しか出来ない。
そんな器の小さい男が長を勤める部署に、有能な人物が長居する訳もなく……
部長の傲慢さに我慢出来なくなった者は早々に退職して行くのだ。
リブさんとバレルさんが辞めないのも、他に行く宛てがないから……もしくはやる気自体がないからだろう。
紅一点のリブさんはティミー殿下と同い年、そして同じ学校・教室で共に勉学に励んだ方だ。
義務教育卒業後、軍に入ったのはティミー殿下に惚れており、少しでも一緒に居たいと思ったかららしい。
甘酸っぱい恋物語なのだが、殿下は王族で王位継承権第一位。
しかも異世界で彼女を作り帰還するや、その身分を明かして婚約まで発表。
ご身分を明かして婚約発表まで時間があれば“身分違いの恋は諦めよう”的な感情から拗らせる事もなかったのだろうけど……
同時だった為、“こんなに想ってたのに、なんで私じゃダメなの!? 彼女(アルル様)も平民じゃん!!”って感情が芽生えてしまい、一気にやる気を削がれてしまったのだ。
そして島流し的に
ここ
(
武器開発部
)
に……
バレルさんは見た目だけで言えば屈強な猛者なのだが、その実大変気が小さい。
剣を握って敵と戦うなんて出来もせず、軍事演習で泣き喚く始末……
でも顔が大変怖いので民間での職に有り付けず、軍に働き場所を求めた始末。
本人は“出来ればお花屋さんを営みたい”と乙女チックな夢物語を謳っているが、そんな花屋には客が来ない事請け合い。
だがこう見えても彼は結婚しており、とっても可愛い奥さんと娘さん2人を養わなければならないのだ。
従って軍を辞める訳にはいかず、居るだけで給料が貰える窓際部署で満足していた。
そんなやる気のない2人だからこそ、この傲慢で嫌味っぽい上司の下でも胃潰瘍にならずに居られたのだが、その上司が年々減らされていく給料に憤慨。
『じゃぁ活躍しろ』との軍務大臣からのお達しで、出来もしない新兵器開発プロジェクトを立ち上げたのだ。
でも直ぐに頓挫。
そして僕に八つ当たり。
だから僕はウルフ君に泣き付いた。
本当はこの男をクビにし
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