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STARDUST唐eLAMEHAZE
第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#6
戦慄の侵入者 〜Emerald Etrange〜
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ラインに密着した裾の長いバレルコートのような学生服。
 黄楊(つげ)の櫛に含まれる油が浸透して鈍く煌めく茶色の髪。
 長い襟足の耳元で、果実をモチーフにしたデザインのイヤリングが揺れていた。
(フッ……なかなか鋭いヤツだな……頸動脈をカッ斬ってやるつもりだったが、
寸前に幽波紋(スタンド)を使って身体を(ひね)り、「着弾地点」を変えたか……
ソレにあの 『幽波紋(スタンド)』 のパワーとスピード、そして精密動作性……
“アノ御方” が始末しろというのも無理はない……
しかし……ボクの『幽波紋(スタンド)』の敵ではない……)
 その個性的な学生服に身を包んだ細身の美男子の躰から、
仄かなライムオイルの芳香と共に、煌めく翡翠の燐光に包まれた
人型のナニカが流動的な「音」を伴って抜け出して来る。
(このボク……花京院 典明のスタンド……
法皇の緑(ハイエロファント・グリーン)』 の敵では、な……)
 心中でそう呟いた花京院は、己の狩るべき 「標的」 をその頭上から
冷たい視線で一瞥し、そしてスタンドと共に人混みに紛れ姿を消した。



【4】

「大丈夫!?承太郎!!」
「大丈夫!?承太郎!!」
「大丈夫!?承太郎!!」
「大丈夫!?承太郎!!」
「大丈夫!?承太郎!!」
「大丈夫!?承太郎!!」
 女生徒達は一様に同じ台詞で承太郎の元へと駆け寄る。
「来るなッッ!!」
 鋭く叫ぶ承太郎。 
「ッッ!!」
 しかし女生徒達は一瞬怯んだものの、すぐに集まって承太郎を取り囲んだ。
「大丈夫? 承太郎。良かったわ。後15pずれてたら石段に頭をぶつける所だったわ」
「この石段はよく事故が起こるのよ。明日から私と手を繋いでおりましょうネ。承太郎」 
 心配そうな顔と大惨事ならなかった事への安堵の表情で、
交互に自分を潤んだ瞳で見つめる女生徒達。 
「くっ……!」 
 もし自分の傍にいれば、今度はこの女生徒達がさっきの「攻撃」に巻き込まれる。
「チッ!」
 短く舌打ちすると、承太郎は立ち上がり目の前の林に向けて疾走を開始した。
 無理に動かした為、傷口から血が噴き出したが無視した。
「あ! どこに行くの!? 承太郎! 病院に行かなきゃダメよッ!」
 追ってこようとする女生徒達に承太郎は素早く振り返り、そして叫ぶ。
「いいかッ! ついてくんじゃあねー! オレの言うことが聞けねぇのかッ!
先公(センコー)にオレは遅れるって言っとけ! 頼んだぜッ!」
 出来るだけ端的に早口で、承太郎は自分に追いすがってこようとする女生徒達
にそう告げ、再び彼女達に背を向けて林に向かって駆ける。
 振り返る事は、もうなかった。
「……」
 女生徒達は、ポカンとした表情でその場に立ち止まっ
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