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4部分:第四章
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第四章

「けれどこんな可愛い年下の彼氏ならついね」
「つい?」
「ねえ。キスとかしたことある?」
 その小悪魔的な悪戯っぽい笑みで。マリコさんは僕にこうも言ってきた。
「そういう経験はあるかしら」
「えっ、今何て」
「だから。キスとかしたことあるかしら」
「そ、それはその」
「君今十七歳よね」
 今度はこのことをだ。僕に言ってきた。
「彼女はいたことあるかしら」
「それは」
「正直に言っていいのよ。笑ったりしないから」
「笑わないんですね」
「約束するわ」
 そのことは絶対にだと。マリコさんも言ってくれる。
「そのことはね」
「じゃあ。実は」
 マリコさんを信じて僕は言うことにした。その本当のことを。些細なことだろうけれど僕にとってはとても恥ずかしいそのことを。
「ないです」
「ないのね」
「キスとか。そうしたことは」
 本当になかった。一切。
 そもそも僕には彼女がいない。それも生まれた時から。それでどうしてキスとかの経験があるのか。そんなことは有り得ない。
 それで僕は恥ずかしかった。経験がないことが。
 それで勇気を出してだ。僕は答えることになった。
「ないんです、本当に」
「じゃあこれからね」
「これから?」
「教えてあげるからね」
「えっ、教えてあげるって」
「色々とね。例えばね」
 マリコさんはその小悪魔の笑みで僕に言ってくる。今のやり取り、僕とのそれが楽しくて仕方がないといった様に。
「キスとか。今からする?」
「えっ、今からですか!?」
「そう、今からどうかしら」
 悪戯っぽい笑みで僕に語り掛けてくる。
「そうする?ここで」
「あの、それは幾ら何でも」
 自分でもわかる位戸惑って僕は答えた。
「大胆ですよ。そんな」
「あれだけ情熱的な告白したのに?」
「それはその」
「いいわ。それならね」
 マリコさんは僕が慌てふためいて狼狽するのをくすくすと笑いながら見てだ。そして今度はこう言ってきた。
「今度ね。手取り足取り教えてあげるわ」
「手取り足取りですか」
「最初から最後までね。楽しみね」
「あの、楽しみって」
 それに最初から最後までとはどういう意味か。僕はそのことも尋ねた。
「どういうことですか?」
「君が思ってる通りのことよ」
「えっ、それってつまり」
 もう見透かされていた感じだった。そのことにさらに狼狽したまま。
 僕は慌てふためいてしどろもどろになるけれどその僕にだ。マリコさんは急に優しい笑みになってこうも言ってくれた。
「落ち着いて。ゆっくりとね」
「ですか」
「そう。教えてあげるわ」
 何か悪魔と天使が一緒にいる様な、そんな笑顔だった。僕はその笑顔を見て心が鷲掴みに、けれどとても優しく取られた気がした。そうし
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