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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百二十話 内乱への道 (その3)
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下! 何を仰せられます!」

「良いのじゃ、国務尚書。皆予の前では頭を下げつつも心の中では嘲笑っておった。凡庸な男だとな。予を笑わなんだのは、その方らを含めほんの数えるほどじゃ。その蔑まれ続けた凡庸な皇帝が帝国の命運を変える勅令を出すか……。生きるとは面白いの」
「……」

皇帝は分っていた! 自分が凡庸だと多くの人間に蔑まれていると理解していた。どんな気持ちで自分を蔑んでいる人間たちを見ていたのだろう。むしろ嘲笑っていたのは皇帝のほうだったのではないだろうか。俺もその中の馬鹿な廷臣の一人だと判断していたのだろうか。

「憎まれるか、それも悪くない。どのようなものか味わってみようではないか。楽しくなりそうじゃの……」
「……」

「皆聞くが良い。予は勅令を出す。この国を変え、新しい帝国を作るのじゃ。それに反対するものは逆賊である。たとえ何者であろうと容赦する必要は無い。さよう心得よ!」

俺たちは皆、一斉に起立して頭を下げた。勅令を出す、フリードリヒ四世は決断した。帝国は変わるだろう、皇帝が変わった様に帝国も変わる。

フリードリヒ四世が後世どのように評価されるか分らない。しかし、新帝国を作ったのはヴァレンシュタインでも、それを命じたのはフリードリヒ四世だ。新帝国の初代皇帝として、ルドルフを否定した皇帝として記憶されるのかもしれない……。






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