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STARDUST唐eLAMEHAZE
第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#5
逆襲のシャナ 〜Der Freischutz〜
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は不承不承握った拳を降ろした。
(うむ。しかしこの子がよもやこんな真似をするとはな……
我も少々意外であった……フレイムヘイズとして地に降りた後、
今まで人間と交わった事は数少ない。
故にコレがこの子の本当の姿なのか?
或いはこの男、空条 承太郎との邂逅によりこの子、
シャナの中の何かが変わりつつあるというのか……?)
 胸元で長考するアラストールの上で、ようやく笑気の収まった
フレイムヘイズの少女が晴れやかな声をあげる。
「安心なさい。ジョセフは無事よ。 “紅世の徒” にその存在を喰われたわけじゃない」
 すっかりいつもの調子を取り戻したシャナが、活き活きと快活にこちらを見た。
「 “波紋(ハモン)” っていうの? 特殊な「呼吸法」で血液の流れを操作して、
「太陽」と同じ力を編み出す「技」は。
ソレの影響で存在の力が大きかったから、
“封絶” の中でも動けたみたいよ。
逃げ足が速かったから “燐子” も捕まえるのに苦労してたわ」
 クソジジイ、と小さく呟いて承太郎は学帽の鍔を摘む。
「うむ。しかしアレは 「戦略的撤退」 といった感じだったがな。
彼奴の全身から迸る鮮赤の「波紋」燐子如きなら容易く粉砕出来そうな力ではあった」
「それにしても、おまえ? 意外と可愛い所あるのね?
そんなに “おじいちゃん” が心配だった?」
 一部分を殊更に誇張して、ぷぷっ、とシャナが口元を押さえまた笑う。
「……」
 押し黙る承太郎。
 しかしその胸中は渦巻く蟠りを抑えるのに吝かでない状態だった。
(……このクソガキ……あとでぜってーシメる……ッ!)
 そんな不機嫌極まりない承太郎と、
コレ以上ないというくらい上機嫌であるシャナの視界に、
夕闇に染まる空条邸の大きな門構えが見えてきた。
 そしてその前に “ジョセフ” がいた。
「おお! 承太郎! シャナも一緒かッ! 遅かったな!
今迎えに行こうとしていたところだッ!」
 こちらに気づき快活な表情で大きく手を振っている。 
「ただいま! ジョセフッ!」
 一際明るい声で、シャナが纏った黒衣の裾を揺らしながら
ジョセフの元へと駆け寄る。
「今日は随分早かったな? 折角これからこのワシが助太刀に
行こうとしていた所じゃったのに」
「冗談。あんな “徒” なんか、私一人で充分よ」
「つまらんのぉ。折角このワシが 『戦いの年季』 の違いというものをじゃな、 」
「……」
 実の孫である自分以上に、笑みを混じ合わせながら親しげに言葉を交わす二人。
 その祖父の「胸元」に、“トーチ” はなかった。
「……やれやれ、だぜ 」
 ジョセフの無事を密かに安堵した承太郎は、今日何度目か解らなくなった
お馴染みの台詞を苦々しく吐き捨てた。


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