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英雄伝説〜菫の軌跡〜(零篇)
第68話
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こまでの事態を引き起こした愚か者たちには心底呆れ果てたよ。」

「………はい。」

重々しい様子を纏って語るディーター総裁の言葉にロイドは頷いた。



「私とて、クロスベルの状況が難しいものであるのはわかっている。ルバーチェのような存在や議員や役人たちの腐敗についてもある程度は仕方ないと諦めていたが………どうやら私はとんだ愚か者だったようだ。」

「……おじさま………」

「そうですわね………IBCは少なからず、クロスベルの政界に影響力がある。お父様は今まで、あえて中立であろうとしていましたけど………」

「その怠惰が今回の事態を引き起こす一因にもなったようだ。………すまない。お詫びのしようもないくらいだ。」

「そ、そんな。」

「いや、さすがにそれは気にしすぎじゃないッスか?」

「実際、権限や責任があるわけでもないですし………」

「…………………」

(ガイの話ではガイが殺害されかける事になった事件の”犯人”の共謀者はあの二人もその人物達だとの話だけど………)

マリアベルの話に続けた後謝るディーター総裁にロイド達がそれぞれ恐れ多いといった様子で答えている中レンとルフィナは真剣な表情で二人を見つめていた。



「いや、時の政権に対して財界がある程度働きかけるのは本来は常識的なことだろう。………それ以前に、私にもクロスベルを愛する市民の一人という自負があったはずだ。だが忙しさにかまけ……その愛郷心も薄れていたらしい。」

「……………………………」

「……それは私達市民、一人一人がそうだったと思います。」

ディーター総裁の話を聞いたロイドは複雑そうな表情で黙り込み、エリィは疲れた表情で溜息を吐いて答えた。

「ああ………いずれにせよ、ここで愚痴っていても仕方ない。この事態を解決するために我がIBCは総力をもって君達に協力させてもらおう。」

「総裁……ありがとうございます。」

「とても………心強いです。」

「……ご協力、感謝します。」

ディーター総裁の申し出を聞いたロイドとエリィ、ルフィナはそれぞれお礼の言葉を口にした。



「といっても、この状況は如何ともしがたいですわね。警察本部やタングラム門とも連絡が途絶しているのだったかしら?」

「はい……何度か連絡してみたんですが。」

「………何らかの理由で通信妨害がかかっているようです。導力ネットワークによる連絡を試すことはできないんでしょうか?」

「………どうやら何者かによってジオフロントの導力ケーブルが遮断されているらしいですわね。何とか迂回ルートを確保すれば通信網を回復できると思いますが……」

「ならば技術スタッフに最優先にやらせたまえ。警察本部、タングラム
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