1部分:第一章
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はやるしな」
これもタイ人の国民性である。緩急が見事なのだ。
「俺達がとやかく言うことでもないしな」
「御前の好きな様にするんだな」
「ええ。乙女でいるわ」
少なくともだ。彼はそのつもりだった。
「永遠にね」
「そうか。じゃあ飯食ったらな」
「また頑張るんだな」
「ええ。乙女の運転手としてね」
頑張ると言ってだ。そしてだった。
彼はニューハーフの運転手としてこの日も働く。その中でだ。
ある日の夕方だ。彼は一人の客を取った。その客はというと。
すらりとした長身でだ。微笑みの爽やかな青年だった。黒髪は奇麗に整え黒い目の光が明るい。まるで映画俳優の様な美男子だった。
その彼を見てだ。アッチャカラーンは瞬時にだ。胸がきゅんとなった。それでだ。
青年に対してだ。こう尋ねたのだった。
「あの、どちらまでですか?」
運転席からだ。後部座席に礼儀正しく座る青年をバックミラー越しに見つつ尋ねた。
「どちらまで行かれますか?」
「うん。バンコクの駅までね」
「そこまでですね」
「うん。お願いできるかな」
「はいっ」
無意識のうちに明るい声で答えたアッチャカラーンだった。
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