19話
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まう鈴。虚を突かれたように間抜けな声を出してしまった。正直、一瞬鬼一の放った言葉が本気で理解出来なかったと言ってもいい。
「無論、必要であれば出来る範囲での協力を惜しむつもりはありません。ですがこの試合とこれとは別の試合で僕自身の弱さが発覚したので、一夏さんに協力している余裕が無くなったというのが本音です」
楯無の試合と違って、文字通り全ての力を吐き出している以上は鬼一はその内容を覚えていることはない。だが、既にある程度は予想していたのだ。もし、最終的に自分が負けるとしたらその部分だということを。
身体能力という弱点をだ。
「身勝手というのも理解しています。だけど、これ以上チンタラしていたらたどり着くことが出来なくなりそうなんで、自分を1回ぶっ壊す作業に入りたいと思います」
今のトレーニングに不満があるというわけではない。だが、鬼一はトレーニングしている時からずっと、漠然とした不安が付き纏っていた。
国家代表、代表候補生と言ったトップクラスの連中を本当に追い越せるのかという不安。今のトレーニングで果たして大丈夫なのか? という恐怖。自分が鍛えていても周りも鍛えている以上は追いつくこともそうだが、仮に追いつくとしてもそれに対してどれだけの時間がかかるのか?
漠然と、漠然としていたがこれから数ヶ月で周りの連中に最低でも追いつくだけのことをしなければ、もう2度と追いつけないかもしれないという焦燥感に鬼一は駆られていた。
無論、一夏に対して協力の姿勢を解くつもりはない。約束も義理もある以上、丸々ほっぽり投げるというのは気が引けた。時間の配分を変えるのは間違いなかったが。
「鈴さん、踏み台になる覚悟があるのでしょう? だったらあなたが教えてあげた方がいいでしょう。僕は表面的なことしか教えることしかできません。まだ自分で歩くことも出来ない一夏さんを立たせて歩かせるのは、多分、僕じゃ出来ないです」
ここで鬼一は不思議なことを感じた。
一夏との戦いの時は試合とその前の記憶が無くなっていたが、今回は覚えていたからだ。だが鬼一はその違和感をひとまず置くことにした。
「鬼一、ちょっと……!」
「鬼一さん……! 大丈夫ですか!?」
鈴が鬼一に声をかけようとしたが、その前にセシリアが割り込んでくる。その声は焦りに満ちたものだった。だが、意識がハッキリしている鬼一を見て全身の力を抜いた。
「……セシリアさん? ……また、心配させてしまったみたいですね」
鬼一は苦笑してゆっくりと立ち上がる。が、まだ身体に力が入らないのか前のめりに倒れそうになった。
その前にブルーティアーズを身に纏ったセシリアが鬼一の身体を支える。
「満足に動かすことが出来ないのでしたら、その
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