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魔王に直々に滅ぼされた彼女はゾンビ化して世界を救うそうです
第8話『理に適った理不尽』
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  対魔傭兵(かれら)も、ピクリとも動こうとはしない。その無感情な目は、ただ二人を見つめていた。


「何、を……言って……」


        言い訳もできない、証明するまでもない。それは紛れもない、総意であった。



 −−不意に、何処からか石ころが飛んでくる。

 石ころはスィーラの頭に当たり、そのまま地面へと落ちて転がった。同時に、四方からゴミやレンガの欠片等が投げつけられる。それらの主は──探すまでも無く、たった今さっき、彼女(スィーラ)によって助けられた町の住人達。その彼らが今、全身に敵意を漲らせて、スィーラを睨み付けている。まるで、大切な人の仇を見るかのように。

 その目線は決して、命を救ってくれた恩人に向けて良い目ではなかった。


「殺せ……!」


 声が、聞こえた。

 スィーラが、肩を震わせる。


「そいつのせいで……母さんが……っ!」


 声が、聞こえた。

 スィーラが、震える自分の肩を抱き抱えた。


「死ね……!死ねよ……っ!よくも、この街をこんなにしてくれたな……っ!」


 声が、聞こえた。

 スィーラが、頬に涙を伝せて俯く。


「殺せ……っ!殺せよ……っ!アンタら、それが仕事なんだろうが……っ!」


 ……声が、聞こえた。

 彼女が、もう聞きたくないと、耳を塞いだ。


「そいつのせいで……!そいつのせいで……っ!」


 ──声が。


「なんで、お前みたいな奴がこんな所に来やがったんだよ……っ!」


 ────声、が。


「糞……っ、糞……ッ!返せよ……っ!俺の子供を、返してくれよ……っ!」


 ──……──、胸糞悪い、声が……



「──その死徒を殺せ、ジーク・スカーレッド。我ら人間に害成すその化け物を、殺せっ!」







 ──聞こえた。










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