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魔王に直々に滅ぼされた彼女はゾンビ化して世界を救うそうです
第8話『理に適った理不尽』
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に差があり過ぎる。
「ごめん」と素直に頭を下げるメイリアに、ジークが慌てて「別に責めたい訳じゃないんだけどな」と訂正した。
「……ぃ、……ぁ……?」
不意に、スィーラがジークの肩を叩いた。振り返ったジークの目に入ったのは心配そうな表情でジークの胸元を見つめるスィーラで、その視線の先には先ほど付けられた横一文字の切り傷。
「ん、あー……見た目穏やかじゃないなコレは。『
治癒温光
(
ヒューラ
)
』」
ジークが自身の傷跡に手を触れ、魔力を通す。治癒の光が修復を後押しし、やがて抉れていた肉も塞がっていく。光素の派生属性、
癒素
(
ヒール
)
と
水素
(
アウラ
)
を組み合わせた即時再生魔術。痛覚こそ残るものの、応急処置としては問題ないだろうと、ジークはその手を退けた。
スィーラがその塞がった傷口を見つめ、目を丸くして手を伸ばす。未だ血塗れてはいるものの後遺症一つ残さず完治した傷跡を指でなぞり、混乱するかのようにジークに視線を向けた。彼女は回復魔術を知らないのだろうしそれに対する疑問もあるのだろうが、今彼女の瞳に映るのは別の考え。
「ぁ……ぉ、ぅ……ぁぉ……?」
恐らくは、『大丈夫なの?』と言葉にしたかったのだろう。スィーラは今にも泣きそうな顔で、戸惑うジークの顔を覗き込んでいる。その手は微かに震えており、その恐怖には自分の事は一切含まれてはいなかった。
たかだか出会って3~4日。その程度の付き合いの筈の自分をここまで心配してくれているスィーラに苦笑しつつ、「大丈夫だ」と笑いかける。彼女はホッとしたように息を吐くと、そのまま糸が切れたようにもたれ掛かってきた。胸の中に倒れこんでくる彼女を抱きとめ、今まさに面白がって口笛を吹こうとしていた槍の男−−ゲインを睨み付け、黙らせる。
スィーラはジークの服をしっかりと掴み、離す様子はない。いくらなんでも出会ったばかりの男にこれほど心を許すのはいかがなものなのかと一瞬心配になったが、取り敢えずは照れ臭いのを我慢して、腕の中で未だ体を震わせる彼女の背をあやすように撫でた。
そして、改めて辺りを見渡す。
笑顔はほとんど無い。精々
対魔傭兵
(
リ・メイカー
)
の中に数名見当たる程度だが、当然ながら町の人々の顔は衰弱しきっている。中には被害がほとんど無い者も居るのだろうがそれでも死の恐怖というものを十分に味わったのだろうし、実際に帰る場所を失い、大切な人々を失った者も居るのだ。中にはその大切な人を安心させようと無理に笑顔を作ろうとする者も居たが、それは決して『笑顔』と呼んでいいモノではなかった。
それでも、本来なら生き残りが居なくてもおかしくない事態だった。
きっとメイリア一人では対応できる数にも限界はあっただろうし、一度崩れればもうおしまいだ。魔法を十全に扱うことの出
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