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魔王に直々に滅ぼされた彼女はゾンビ化して世界を救うそうです
第8話『理に適った理不尽』
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駆け寄り、その手を取って肩を貸す。そのままベンチまで二人を連れて行き、ゆっくりと座らせた。

「ごめんね、腰抜かしたみたい。……この子は大丈夫、人を襲ったりしてないから」

 メイリアが頬を掻きつつ苦笑いし、ジークもまた苦笑して隣のスィーラをちらりと見る。未だその顔には暗いものがあるが、ジークがその頭を撫でてやると、心地よさそうに目を細めた。

「だろうな。さっきも言ったけど、正直めちゃくちゃ助かった。それに、あの魔法撃ったの、メイリーだろ?」

「うん、無駄に馬鹿でかい魔法しか出来ないからね」

 ──メイリアが持つ固有の特異体質。それは体外に放出された魔力を爆発的に増幅させる特性であり、メイリアを悩ませる災厄の種である。
 魔法とも技術とも違うそれは一般的には『異能』と呼ばれ、人類が稀に持つ先天的な特殊能力である。が、メイリアのソレは魔力量が体感より遥かに多く、制御すら出来ず、人が居る場所では確実に巻き込んでしまうなど、完全に足枷にしかなっていない。どんなに小規模の魔法だろうと大魔術級の威力と範囲になるソレは戦争に於いては貴重な戦力になりうる力なのだろうが、メイリアは断じてそんなくだらない事のために魔法の腕を磨いているのではない。

 主にこの《人界》には六つの属性があり、それぞれの属性を応用して魔法や魔術を形成している。

 熱と破壊を司る火素(カノ)
 調和と心を司る水素(アウラ)
 流れと力を司る風素(エンフ)
 定着と形を司る地素(グラル)
 良識と輝きを司る光素(ライア)
 悪意と不安を司る闇素(ダリ)

 それらの6大元素を元に魔法式を形成し、『世界式(プロジェクタリ)』に代表される魔法形式を設定する。
 火素(カノ)を大元に風素《エンフ》と組み合わせ、火球を生成する『熱球直射(フィリア)』系統の魔法や、水素(アウラ)地素(グラル)を組み合わせて物質を形成する『構想想像(トリガー)』等、組み合わせは多岐にわたり、更にそれぞれの元素には変質魔素なる派生系が存在する。
 故に、魔導の道を極めたものは人類史に於いてたった一人。神代の時代に於いて全てを極めたとされる初代《神殺し》のみである。

 最も、《神殺し》はついぞその力を後世に伝える事はなかったらしいが。

「……取り敢えず、無事で良かった。立場的には、魔族と戦い慣れてない奴が戦うなって言わなきゃいけないんだけどな。感謝はしてるけど、運が悪けりゃ死んでたぞ?」

 ジークの視線に少しばかり責めるような気配を感じ取り、慌ててメイリアが視線を逸らす。恐らくは彼女の頑丈さも異能によるものなのだろうが、そのお陰か殆どの攻撃で直接的なダメージを一切通さないスィーラと、ただの人間であるメイリアには流石に安全度
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