第89話
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からないらしいのよ。」
「私どもの知っている連絡先は全て当たってみたいのですが………」
「……ニコルさん、最近様子がおかしかったのではありませんか?」
リーシャ達の話を聞いたティオは真剣な表情で尋ねた。
「あ、ああ、その通りだ。気が弱くて、ミスの目立つ新人アーティストだったんだが………記念祭の後くらいかな。急に驚異的な才能を見せ始めたんだ。」
「………………才能というのは、具体的には………」
「―――卓越した身体能力だ。それに情熱的な演技も難なくこなすようになった。」
「でもあれって………まるで憑き物がついたような感じよね。絶対ニコルがやるような演技じゃないわよ。」
「ええ、それに何だか熱に浮かされたような雰囲気で………まるで別人みたいでした。」
「………決まり……ですね。」
「ええ………しかもこちらも失踪済み……良くない状況ね。」
劇団長、イリア、リーシャの話を聞いたティオは呟き、ルファディエルは頷いた後厳しい表情になり、そして劇団長に言った。
「劇団長、ニコルさんの事は支援課に任せて頂けないでしょうか。もしかすると、自分達の方で探し出せるかもしれません。」
「本当かね………?もしそうなら願ってもない。是非頼みたい所だよ。」
「そうね、ルファディエルや弟君達が担当してくれるなら安心かも。それにあたしたちも、公演の段取りを付けないといけないしね。」
「今日の公演………まさかやるつもりなんですか………!?」
イリアの説明を聞いたティオは驚きの表情で尋ねた。
「ええ、それも話し合っていた所なんだけど………ニコル君が戻らなくても舞台をやめるわけにはいかないわ。何とか役をやりくりして上演するつもりよ。」
「劇団アルカンシェルが舞台を降りる事などありえませんからな。」
「ああ、役や台本、演出も調整しなければならないだろうが………公演時間を遅らせるという手もある。何とかして実現するつもりだよ。」
「驚きました……何というか、さすがの執念ですね。」
「フフ、さすがです。………わかりました。皆さんは公演の方をお願いします。ただし、楽屋や客席にニコルさんが戻っていないか常に注意しておいてください。もし見つけた場合はすぐに支援課の方に連絡を。」
劇団員や劇団長達の話を聞いたティオは感心し、ルファディエルは微笑んだ後指示をした。
「わかった、そうしよう。」
「……すみません、私がもっと注意していればこんな事には………ニコルさんのこと、どうかよろしくお願いします。」
「ええ。」
そしてリーシャの言葉にルファディエル頷いた。その後2人は劇場を出て行った。
「―――ルファディエルさん!」
2人が劇場を出たその時
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