暁 〜小説投稿サイト〜
世界最年少のプロゲーマーが女性の世界に
18話 鈴戦
[26/36]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
イルポッドが開かれミサイルが射出。が、先ほどのように扇状ではなく全て直線的に発射される。試合の頭で鈴にやられたようにそのミサイルを利用されることはないようにだ。
 近接戦に発展させるために鈴は前進していたがそのミサイルの軌道を見て、利用することは出来ないと判断を下した。同時にこのミサイルが追尾性に優れたものだということも鬼神の映像から理解している。甲龍の機動力では回避しきれるか微妙なライン。

 必然的に迎撃せざるを得ない。

 左のスパイクアーマーに残っている龍砲を駆使してミサイルを迎撃し、うち漏らしたミサイルは後退しながら双天牙月で『切り払っていく』。

 その姿を目の当たりにした鬼一は改めて鈴の技術に舌を巻く。だがそれも一瞬。鈴が後退して再度距離を取るというのならその間にミサイルを再装填。再装填している間に羅刹とレール砲で鈴を狙い打つ。

「ちっ!」

 ミサイルを迎撃し終えた鈴は、続けざまの鬼一の追撃に苛立たしさを隠そうともせずに舌打ちを零した。自分が不利な状態に追い込まれていることを自覚しているからだ。
 同時に鬼一はこの有利を放さないように握り締める。

 特化型に遅れを取るが鬼神は距離を選ばずに戦うことを想定されたISだ。近距離がメインの甲龍と中距離以遠を維持している以上、必然的に鬼神が優位を獲得できる。その優位性を鬼一も知っている以上、この距離を詰めさせない、維持することに神経を使う。

 それに対して鈴は中距離以遠の戦いが自身にとって不利な戦いだということは、過去の戦いで骨の髄まで自覚している。ならば多少のリスクを犯してでも距離を詰めなければならない。

 だが、鈴は鬼一に対して距離を詰めようとしない。

 この場で重要なことを鈴は、いらだちの態度とは裏腹に理解している。

 過去の映像とここまでの戦いで鈴は鬼一の技量を把握し、射撃戦で自分にダメージを与えるのは困難、いや不可能に近いと考えた。

 ならば鈴が行うことはただ一つ。

 鬼一の弾薬を吐かせること。

 鬼神の武装の弾薬が底をつきれば必然的に近接戦を行わなければならない。ならばそこでリスクを支払う。今ここでリスクを取れば万が一がある。リスクの払いどころとその分量を鈴は冷静に測っていた。少なくとも今ここで大きなリスクを支払うのは間違いだと。

 ―――この人っ! こっちの弾切れを狙うつもりか? そっちがそのつもりなら弾幕を1度止めればいい。けど……!

 鬼一も鈴の立ち回りを見てその狙いは看破していた。しかし、今ここで弾幕を止めてどうするというのか。今止めてしまえば鈴は容赦なく距離を潰してくるだろう。そうなればまた絶望的な橋を渡ることになる。今度同じ戦略は通用しない。

 この射撃戦にも鬼一の勝利は存在しなかった。
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ