暁 〜小説投稿サイト〜
世界最年少のプロゲーマーが女性の世界に
18話 鈴戦
[14/36]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
いた。その一瞬を少しも逃さないと言わんばかりに。

 腹部に叩きつけられる不可視の一撃に、鬼一は空中で受身を取ることも叶わずに地表に叩きつけられた。
 絶対防御が発動してシールドエネルギーが削られたが、そんなことを気にしている余裕は鬼一の中には無かった。

―――――――――

「……これが、衝撃砲か……」

 観客席から2人の試合を見ていた一夏が呆然と呟く。少なくとも一夏はあの一撃に対して具体的な対策は何も思いつかない。

「実際に見ると極めてやりにくい武装ですわね。砲身も弾丸も見えない以上、回避行動も防御も満足に出来ません。近距離ならもっと難しいでしょう。これだけのものなのに燃費すらも良い」

 厳しい視線をアリーナに向けたままセシリアは呟く。

 ―――でも衝撃砲よりも鈴さん本人の方が厄介。少なくともあんな滅茶苦茶な回避、それどころか攻撃にまで利用できる操縦者はそう多くはない。

 その言葉は口にせず、心の中で留める。

「セシリア、あの衝撃砲なんだけどハイパーセンサーで読むことは出来ないのか? 空間の歪みとか空気の流れから分かるような気がするんだが」

 一夏の質問に首を横に振る。

「ダメですわ。それだとあまりにも遅すぎます。正直撃たれるのを待つだけになってしまいますわね。
 もしわたくしが対策するなら、なんとかして先手を取って少しでも圧力をかけて余裕のある状態で衝撃砲を撃たせないことを考えます。苦し紛れの状態で撃たせればいくらなんでも、直撃を狙うのは難しいはずですわ」

 口にしていてその対策が鬼一が実行するのは難しいとセシリアは考えた。

 鬼一が先手を取るには鈴と近接戦を行って有利を取る必要が出てくる。射撃戦を行っていてもどこからどんな方法で逆襲が来るのか予想が出来ない以上、迂闊に射撃を仕掛ける訳にもいかないから。

 となるとリスク覚悟で近接戦、衝撃砲と双天牙月の波状攻撃を真っ向から受けて立つ他にならない。その攻撃を崩さなければ鬼一の勝利はない、とセシリアは分析する。

「鳳 鈴音。全てが未知数な開幕に対して、普通ならリスクを避けなければいけないのにも関わらずそのリスクを真っ向から受け入れるなんて、その度胸もかなりのものですわね」

「鬼一の奴、どうしてあんなに近距離戦に拘ったんだ? 鬼神の速度なら鈴を引きちぎることだって出来るはずだ」

「織斑さん、鬼一さんは鈴さんを相手にリスクを回避して倒せる相手では無いと判断したんですわ。鈴さんを攻略するにはどうしても衝撃砲とあの異形の武器を用いた攻撃、攻撃力を何らかの形でどうにかしなければなりません。
 多分ですが、多少シールドエネルギーを支払っても情報を優先したんだと思います。鬼一さんは鈴さんのことを調べていたでしょうし、そ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ