18話 鈴戦
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して……『僕に龍砲を見せたくない』からか?
1回でも龍砲を確認することが出来れば、例え見えない武装であったとしても対応出来る自信が鬼一にはある。
いまのやり取りだけでも鬼一の警戒度が引き上がる。
―――危な……。あと少しで龍砲を使いそうになったわ。こいつの目の前で龍砲を軽々しく使っちゃいけないわ。確実に合わせてくる。
1回でも使用すれば何らかの形で対応させる予感が鈴の胸中にある。軽々しく切るわけには行かない。対応がしにくい、双天牙月との波状攻撃が最大の攻撃なのに単一で使うのは愚かだ。
鈴は鬼一が、一夏やセシリアの試合を直に見たことはない。が、映像であったとしてもその危険性は読み取れた。
もし、龍砲の情報が映像などで残りやすいものであったなら鬼一は龍砲に対して神経質になる必要はない。だが砲身も弾丸もまったく見えない独特な代物である以上は、実際に体感しない限りは対策を練る事もできないのだ。
「……先手は譲ったわ。次はこっちから行くわよ!」
「っ!」
鈴の気迫が鬼一に叩きつけられる。その迫力に思わず身を逸らしかけた。
鬼一の手から羅刹は格納されて姿を消す。両手を駆使して夜叉を使わなければ力負けするのを危惧したからだ。
―――来る!
距離を離すことは出来ない。離した瞬間、確実に追撃が待っている。フィールド端に追い詰められたら嬲り殺しの未来が見えた。そうなれば鬼一の勝利はもうない。
故にリスク覚悟の迎撃に賭ける。
双天牙月をクルクルと使い慣れた道具のように回転させ、緩急を付けながら鬼一を斬りつける。鬼一が致命的な隙をさらすその瞬間まで何度も。
鈴の連撃の合間を縫うようにレール砲が断続的に火を噴く。シールドエネルギーを削る目的ではなく、威嚇と相手を下がらせるためにだ。
しかし、鈴は下がらない。
鈴は無意識下ではあったがレール砲がどこで撃ってくるか読んでいた。その砲撃を至近距離で避け続けながら自分の攻撃で相手を揺さぶる。
レール砲の弾丸が鈴の顔の右をスレスレで掠めた。そんなギリギリの状態でも鈴の表情は揺るがない。
「―――っ!」
終わらない連撃に鬼一は呼吸が出来ない。いや、息を漏らしてしまった瞬間に最大の1?が口を開けて待っていることを身体で理解している。
苦しい鬼一とは対照的に鈴は余裕すらも感じる。
「……っかは!」
約20秒近くを無酸素で高速戦闘を、歯を食いしばって耐え続けていた鬼一がついに呼吸を再開した。同時に僅かながらに挙動が遅くなる。
その瞬間を鈴は容赦なく突いた。
甲龍の肩アーマーが開き、その中心の球体が鈍く光った瞬間、鬼一はその見えない一撃に備えようとせず―――
ただ、『凝視』して
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