18話 鈴戦
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まずは龍砲と双天牙月の二択を攻略する。それが大前提になる。攻略したらその時の鈴の守備力を突破できるかどうかの戦いに発展させ、ベストはそこで決着をつけることだ。
―――……今までの練習で考えてきた様々な戦略を試して、相手の反応を探りながら逆襲のチャンスを見つけることだ。その上で自分の攻撃力が、甲龍とそのときの鈴さんの守備力を突破できるかどうか……!
空中にいる鈴を強く睨みつけて鬼一は飛翔する。出し惜しみはしている場合じゃない。まだ不完全ではあるが、温存する必要のない手札は積極的に利用していかないと戦いにすらならないと判断した。
ミサイルポッドを展開して甲龍に狙いをつけて何の躊躇いもなく発射。
―――――――――
32発のミサイルが空気を切り裂きながら甲龍に飛来。直撃すれば決着をつけかねないほどの火力。弾薬の嵐。
だがそれだけのミサイルを目の前にしても鈴は慌てることはない。短く、しかし力強くスラスターを展開。1歩分だけ前に進めて移動を止めた。
その姿を見て鬼一は眉を顰める。
―――何をする気だ。回避はしないつもりなのか?
鬼火を吹かしながら距離を詰めて考える。鈴の狙いが読めない。IS戦の経験値が少なく、情報がまだ揃っていない状態では読みきることは叶わない。
扇形に射出されたミサイルが1点に集中する。直撃までゼロコンマ数秒。しかし、鈴の表情に焦りはない。
その表情に鬼一のカンが反応する。危険を告げるサイン。カン、と言っても良かった。
―――……そういうことかっ!
前方に進むように鬼火を展開していたがすかさず逆噴射。迷っている場合ではない。全力で離脱しなければ地面に倒れるのは自分だと確信。
急激なGに意識が揺らめく。ブレる視界の中で右手に羅刹を展開。鈴の胴体に照準を合わせる。
その鬼一の姿に鈴以外の、観客席にいる人間の全員が疑問に思う。鬼一は自分から攻めようとしたのに、それを止めたように見えたからだ。
―――いい判断ね。そこで離脱してなかったらアンタの負けだった。
鈴は思わず笑う。
目の前の相手が『本物』だということに鈴は改めて確信した。まさか、日本に来て初めて戦う相手がこれほどのレベルだとは予想もしなかった。そのことに更にギアが上がる。
ミサイルが直撃する直前、その僅かな一瞬に鈴は躊躇いなく身を投げ出した。一点だけに存在する隙間。そこを全力で『潜り抜けた』。
甲龍の後ろでミサイル同士でぶつかり轟音を鳴らしながら爆発。鈴はその爆風を利用して擬似的な瞬時加速。しかし、その速度は決して本来のそれに劣るものではない。
その絶技に目を見開く観客席の生徒たち。代表候補生のセシリアも例外ではなかった。
だがギ
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