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孤立無援
10部分:第十章
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した。
「マイアミだったらな」
「暑くて当然っていうんだな」
「リトルハバナだからな」
 キューバの首都の名前がだ。そのままマイアミの通称になっている。キューバは言うまでもなく常夏の楽園だ。ただしそのキューバとアメリカは仇敵の関係になっている。
 そのキューバとほぼ同じ熱帯、マイアミは実際に亜熱帯だがそれ故にだとだ。バルボンはバーグマンに返す。
「暑いのも当然だろ」
「そうなるんだな」
「ああ、そうだよ」
 笑ってだ。バルボンはバーグマンに返した。そしてだ。
 彼はあらためてだ。仲間達に言ったのだった。
「それでな。どうする?」
「これからか」
「これからのことか」
「ああ。どうするんだよ」
 アメリカに帰ることはできた。しかしだ。
 ここはベトナムではない。戦場ではない。だから仲間達に尋ねたのである。
「まさかここで泳ぐ訳にもいかないだろ」
「泳ぎたいけれどな」
 ジョーンズは水着の美女達が泳ぐマリンブルーの見事な海を見ながら呟いた。
「けれどそれはな」
「ああ、残念だけれどな」
 仮にもベトナムにいて戦っていた。それならだった。
 バルボンはジョーンズにこのことを言ってだ。そしてだった。
 こうだ。仲間達に言ったのだった。
「近くに俺が志願した海兵隊のベースがあるぜ」
「じゃあそこに行ってか」
「詳しい話をするか」
「ああ、そうしようぜ」
 こう仲間達に言ったのである。
「それでいいな」
「そうだな。助かったことは助かったけれどな」
「俺達は戦場にいないといけないしな」
「それじゃあな」
 三人もバルボンの言葉に頷いた。例え助かったにしてもだ。
 戦場に戻らなければならない。だからこその言葉だった。
「ベースに行って詳しい話をしてな」
「それでベトナムに戻るか」
「死ぬかも知れない場所にな」
「地獄から天国に来てまた地獄だな」
 バルボンは水着の美女達の見事なスタイルを観察しながら苦笑いになった。
 そしてそのうえでだ。仲間達にまた声をかけた。
「じゃあ案内するぜ。ベースまでな」
「ああ、頼むぜ」
「それじゃあな」
 こうしてだった。彼等はだ。
 四人でベースに向かって洞穴の話をした。それを聞いてだ。
 ベースの海兵隊員達は誰もが信じられなかった。嘘だと思った。
 しかし彼等の所属と階級氏名を聞きそれと照合してだ。その話を信じざるを得なかった。そのうえで彼等はベトナムに戻りまた戦場に赴いたのだった。また余談だが彼等のいた洞穴に入ったベトコンの者達はすぐに行き止まりに辿り着き引き返した。そうなったのだ。
 この奇妙な話は実際に残っている。ベトナムで起こった奇妙な話だ。この話はにわかには信じられるものではない。
 だが戦争が終わり戻って来た四人は今も証言してお
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