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憑依貴族の抗運記
第5話、夜の臨時会議
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進める。よろしいですな伯父上」

「依存はない。ブラウンシュヴァイク家に相応しい壮大な計画だ。しかも高貴な貴族主導で実行に移せば、貴族の元帥が何人か誕生するであろう」

 ボアテング伯爵自身も同盟領征服計画に凄く乗り気のようだ。

 どうなるか分からないし対応を決めかねているが、イゼルローン要塞の陥落を視野に入れている俺としては少しだけ心が痛む。

「予算を考えると難しいのではないのでしょうか」

 シュトライト准将が最大の障害について指摘した。まあ予算はローエングラム伯爵に命じて領民を搾取させれば一石・・・

「来年の皇帝陛下への誕生祝いとしてブラウンシュヴァイクで多少負担すると匂わせてはどうか?」

 ボアテング伯爵の提案を実行すれば膨大な出費になるが特に異議は出ない。まあ、ブラウンシュヴァイク家の貯金が呼び水となるなら、喜んで散財しよう。

 シュトライトが少ししてから口を開いた。

「少なくとも実際に作戦を実行する段階の一歩手前までであれば、リヒテンラーデ候はこちらの財力の消耗を喜ぶでしょう。ですが競争相手出現の可能性や実現性、費用対効果の問題を考慮すると、三長官が賛成するとは思いません」

「三長官は今、何かと金髪のこぞうの元帥昇進で非難の的になっている。ブラウンシュヴァイクの提案を拒否できん。違うかアンスバッハ?」


「ボアテング伯爵のおっしゃる通りです。ローエングラム伯爵の元帥昇進で三長官の周囲は大混乱に陥っています。少し揺さぶってやれば公爵の望みをかなえる気になるかもしれません。早速、ボアテング伯爵と私で軍部に働きかけてみましょう」

 アンスバッハはあまり乗り気ではない。と俺は一瞬感じたが、よく考えると思い込みのような気もする。いずれにせよ彼の内心は真偽不明だが、アンスバッハは仕事をきちんとこなす。気になるけど忘れることにしよう。

「二人とも頼むぞ」

 一番派手な難題がブラウンシュヴァイク家の中で公認され、なんとか望み通りの方向に動き出した。工期とかの関係で実際に対ラインハルトの対決に間に合わなくても、様々な腹案に利用出来るだろう。

 いずれにせよ、巨大プロジェクトが小さな一歩を踏み出した。そのことが俺の心に物凄い安心感をくれた。

「では、そろそろ卿らのローエングラム伯に対する見方を聞かせて貰おう」

「ローエングラム伯爵はおそらく帝国随一の戦略家にして戦術家です。政略や謀略の類も最優秀と見ています。軍の内部では優秀な若手指揮官と兵士達の支持を集めています。ですがそれ以外となる一代で立身出世を遂げた人物の弊害、人材不足は否めません」

 アンスバッハ准将が深刻そうな表情で報告した。今のところ利点はオーベルシュタインが合流してないことのようだ。

「なるほど、それで仮にローエングラム伯が帝国随一の政略家にして謀略家を得ようとしていな
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