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憑依貴族の抗運記
第5話、夜の臨時会議
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追跡者がオーベルシュタインとなると安心できる案ではないが、陽動作戦になるため準備くらいは進めさせよう。

 逃げる場合はいっそハイネセンみたいに新天地を目指すか。幸い一生分楽しめるゲームや各種映像ソフトもあるわけだし、補給物質を満載した探査船で一人旅立っても良い。

 これは意外とスマートだ。しかも決戦を挑んで負けてからも使える手。よし、これも準備だけは進めよう。

 それから地球教。気づかれたら危険だけど監視だけはさせるつもりだ。それ以上は基本的に君子危うきに近寄らずでいいか。別に銀河の統一をする気もないし。

「オットー様。皆様が執務室でお待ちです。そろそろ朝の会議の続きを始めたいと思いますが、ご都合いかがでしょうか?」

「十分後に始めよう」

 もう時間か・・・ えーと、軍事力強化でやる気になっている側近達に向かって、いきなり個人用の脱出プランを提出するほど、俺は空気読めないわけではない。

 これらの思いつきは会議で話すようなことでもないし、後で家宰のグライデルに命じて密かに手配させればよいか。

 そうなると作戦会議の議題はやっぱり直近最大のイベント・・・第七次で陥落するイゼルローン要塞に関連する案件だな。

 これを基点にしていくつかのプランを煮詰めよう。それと時間のかかる派手なプランがあった・・・


「宇宙要塞機動化計画ですと・・・」 

 シュトライト准将が側近を代表して驚きの声をあげた。執務室に集まった顔ぶれは朝のメンバーと一緒だ。

 ガイエスブルク要塞機動化計画は原作にも出てくる対イゼルローン要塞戦法の切り札の一つである。

 とはいえ、まだイゼルローン要塞は帝国軍の物。そんな時に対イゼルローン要塞の切り札と提案なんてしたら、失笑されてしまうに決まっている。

 そこで俺は必死に名分を考えた。その名もずばり叛乱地域討伐作戦である。

 しかも俺は天下のブラウンシュヴァイク公。

 ガイエスブルク要塞だけを機動化するなんて地味で堅実な作戦は似合わないだろう。

 即ちガイエスブルク要塞、レンテンベルク要塞、ガルミッシュ要塞の三要塞の機動化計画と新領土編入計画である。そしてこの提案の発表で俺はアンスバッハの驚愕した顔を見ることに成功したのである。

 諸般の事情を考慮して引っ込めたイゼルローン要塞機動化も計画に入れておけば、もっと驚かせられたのかもしれない。

「ローエングラム伯爵対策の会議と思っていたのですが、そのような無謀な計画を立てていたのですか。どんなに低く見積もっても莫大な費用がかかります」

「実際に実行するかは別の話だ」

「しかし、一度計画が動き始めれば・・・」

 アンスバッハがなおもごねようとするのを見て、俺はきっぱりと命じることにした。 実際には壮大かつ実行されない予定の作戦計画だ。

「これは命令だ。実現の方向で
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