マーダラーサーチ
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じりのため息をつく。彼女以外の局員の机の上には、少し揺らせば崩れ落ちるほど積み上がった書類の山が君臨していた。
「……今は無理そうですね」
「これだけの量だ、時間がある間にさっさと片付けないと倍になって戻ってくる。それに市政調査レポートも終わってない青二才に押し付けても二度手間になるだけだからな。事件を解決したいのは同感だが、こっちをおろそかにする事も出来ない。終わったなら邪魔にならないようにどっか行っててくれ」
そう突き放すように言うカイだが、実はフェイトを含む部下の書類の半分以上を彼が肩代わりしているというのは察しの良い人間なら誰でも気付けた。フェイトが早めに終わったのもそのためで、不器用な気遣いをしている彼の機嫌をあまり損ねないように、彼女は大人しく執務室を立ち去る事にした。
ちょうど昼休憩の時間という事で昼食を食べようと思うフェイトだったが、どうも管理局の食堂で食べる気になれず、気分転換がてらに彼女はツインバタフライへ行く事に決めた。アーネストに紹介されてからフェイトは料理の美味しさもそうだが、リスべスとロックに会いたい事もあって気が向いたら度々足を運んでいた。
「そういえば店にはいつも夜に行ってたけど、昼に行くのは初めてかも。もしかしたら昼だけの日替わりメニューとかあったりするのかな?」
そんな風に楽しみにしながら店に到着したフェイトは営業中の札を見てから扉を開け、それなりに賑わった雰囲気の店内へ入った。
「あ! え〜っと、い、いらっしゃいませ! お好きな席へどうぞ!? ……な、なぁ、これで……合ってる?」
「あれ、新顔?」
見慣れない赤い髪の少女がたどたどしく接待をしてきて、若干驚くフェイト。少女が不安そうにカウンターの方を向くと、苦笑いを浮かべたリスべスの姿があった。
「挨拶は間違っていませんが、疑問符はいりませんよ〜」
「というか客が来るたびに緊張してたら身が持たないぞ」
料理を運んでいたロックからも指摘され、少女は口をすぼめて「接客業なんて生まれて初めてなんだからしょうがねぇだろ……」とぼやいていた。そんな少女の姿は子供が背伸びしてるみたいで微笑ましく、空いていたカウンター席に座ったフェイトは心の中で「頑張れ〜」と声援を送っておいた。
「お待たせしました、ご注文は?」
注文を取りに来たロックに、フェイトはさっきまで考えていた事を早速尋ねた。
「日替わりメニューって、この店にあるのかな?」
「はい。本日の日替わりは、“ブーストリミット”です」
「なにその妙にカッコイイ料理名。なんか興味が湧いてきた、じゃあそれ一つお願い」
フェイトがそう言った刹那、さっきまで騒がしかった店内が一瞬で、ざわざわぁ……と効果音が聞こえてきそうな緊張感に包まれ
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