マーダラーサーチ
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し、フェイトは同意を求めるようにロックを見る。実は周囲の客までもが固唾を飲んで見守っているため、フェイトに謎のプレッシャーが圧し掛かって来ていたのだ。
「こんな衆人環視の中で食べる姿を自分だけ見られるってのは、かなりの精神的苦行だと思うんだけど……そこん所どう思う?」
「昔の偉い人は言った。見られて恥ずかしいと思うのは、どこかやましい気持ちがあるからだ、と」
「私、やましい気持ちなんてないよ?」
「気持ちそのものはどうでもいい。率直に言えば、悪いことをしてないなら堂々としてろって話だ」
「それは何となく理解できるけどさ……食事中の姿をたくさんの人にまじまじと見られるのは、別の問題なんじゃないかな?」
「じゃあ戦ってる時の姿を見られるのはどうなんだ? 仲間や市民が見ているのと今の状況に、どう違いがある? どっちも多くの人に見られている事に変わりないじゃないか」
「それは……………………あ、アレ? よく考えたら違わない……かも」
「だったら最初から人目なんて気にする必要は無いな。さぁ、せっかくの料理が冷めてしまうから早く食べてくれ。リスべスも気合いを入れて作ったから、感想を心待ちにしているんだ」
「それもそうだね。じゃあ改めて、いただきます!」
何か言いくるめられたような気もする中、フェイトはスプーンですくい上げて料理を口にほうばる。後ろの方で赤髪の少女が「お〜い、そろそろツッコミ入れていいか〜?」と呟くも、フェイトは脳内に雷が落ちて気付くどころでは無かった。
「な、なんなの……この圧倒的美味しさ……!? 噛んだ瞬間、野菜と牛肉の旨味が凝縮した出汁が口の中で味覚の桃源郷を生み出している! まろやかな肉汁としっかりとした歯応え……そこに二つのハーブの香りと食感も加わった絶妙な味は、まさに芸術の神アポロンが奏でるハーモニー! 野菜も出汁と素材の味が一切喧嘩をせず、互いが互いを高める究極の調和を果たしている! そして飲み込んだ後も、体が……空気が……時間が……すべてが。次の一口を求めてしまう!! やめられない止まらないなんて話じゃない、これは正真正銘……理想郷そのもの! 全ての哀しみや辛い事を時の彼方に流して、生きてる幸福を感じられるぐらい美味しい! あぁ……あまりに幸せ過ぎて涙が出てきた……!」
事実、フェイトはなぜか裸で身悶えるイメージ映像が流れるように、この料理を絶賛して食べ進める。先程の天にも昇る美味さというロックの発言を心から理解しながら、食事の手が次の一口を用意する。
「や、やりました……! 私もお母さんのように、ちゃんと作れました……!!」
「おめでとう、リスべス。努力が実ったな」
『おめでとう!!』
「これも皆さんがツインバタフライを見捨てず
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