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英雄伝説〜菫の軌跡〜(零篇)
第60話
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「でも、どうしてそんなリスクの高い事を……計算高いマルコーニ会長にしては少し違和感を感じますけど。」

「多分だけど”黒の競売会(シュバルツオークション)”の件でハルトマン議長の怒りを買ってしまった事はあのオジサン達にとって今後の活動に大きな支障になる程の相当不味い事になってしまったからでしょうね。」

ロイドの質問に答えたアリオスの話を聞いたティオは黙り込み、ランディは溜息を吐き、マルコーニ会長の真意が理解できず考え込んでいるエリィの疑問を聞いたレンはマルコーニ会長の真意を推測した。



「確かに、あの教団の残党を匿ったりしているとわかったら放っておかない所は多いハズよ。ウチはもちろんだけど……教会とか例の”結社”とかもね。」

「となると………まだ見えていない事情が存在しているんでしょうか?」

「ああ―――しかしそれを確かめている余裕は無さそうだ。今は手分けして、マフィアと失踪者達の行方を追うべきだろう。おそらくそれが、教団の残党の正体を炙り出すことにも繋がるはずだ。」

「あの、それでは………」

「協力体制を結ぶってことでそっちもいいのかよ?」

「ええ、こちらも異存はないわ。市民から失踪者が出ている時点でアタシたちは無関係でいられない。それに薬物調査についてもね。」

ランディの確認の言葉にミシェルは頷いて協力体制を結ぶ理由を説明した。



「……助かります。どうかよろしくお願いします。」

「ああ、こちらこそ。そうと決まれば、役割分担を決めておきたい所だが………エステル達はともかく他のメンバーはどうしている?」

ロイドの言葉にアリオスは頷いた後、ミシェルに現在の状況を尋ねた。

「幸い、スコットとリンたちにも緊急の仕事は入っていないわ。エステルちゃんたちを含めたら総勢7名は確保できるわね。」

「よし、全員に召集をかけてくれ。今日中に目ぼしい場所は回れるようにしておきたい。」

「オッケー。それじゃ、連絡してくるわね。」

僅かな会話の数で今後の方針を決めたミシェルは他の遊撃士達に連絡する為に一階へと降りた。



「あ、相変わらずのフットワークの良さですね………」

「それが俺達遊撃士の最大の強みでもあるからな。そういえば、セルゲイさんはこの事を了解しているのか?」

「ええ、協力体制については既に許可を貰っています。アリオスさんによろしくと言ってました。」

「そうか…………………………」

ロイドの話を聞いて頷いたアリオスは目を伏せて黙り込んだ。

「………その、アリオスさん。警察にいた頃は、課長の下で働いていたんですよね?俺の兄貴と一緒に………」

「………ああ。セルゲイさんと、俺と、ガイ………たった3人で捜査一課以上
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