ターン51 冥府の姫と白き魂
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ぎ込んだそのブレスは、青眼の光龍からその命すら奪っていた。もはや体を浮かべることすらできず、力なく白き龍が落下する。その全身は次第に黒ずんでゆき、地面に落下する前に灰となって風に消えた。
「ドラゴキュートスは戦闘で破壊されない。ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴンに攻撃、冥界の幽鬼奔流」
「けっ……混沌のマキシマム・バースト!」
通常ならば相打ちとなるほどの戦いを経ても、幽鬼の追撃はいまだ止まらない。混沌の龍が全身から破壊の光を拡散させて迎え撃とうとするも、その一撃はもはや遅い。
冥界濁龍 ドラゴキュートス 攻4500→ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン 攻4500(破壊)
あれだけたくさんいた青眼も、残るは亜白龍ただ1体のみ。ドラゴキュートスの破壊の嵐は、フィールド全てを殲滅するまでは終わらない。
「……いいぜ、来いよ」
「青眼の亜白龍に最後の攻撃。冥界の幽鬼奔流」
冥界濁龍 ドラゴキュートス 攻4500→青眼の亜白龍 攻3000(破壊)
男 LP400→0
「……ああ、わざわざ手間掛けさせて悪かったな。もうこれで、悔いはねえよ」
全てのソリッドビジョンが消え、止まった時の中で再び青空が戻ってきた。そんな空を眺めながら、男が体勢を直す。夢想……いや、その彼女もまた、返答代わりに軽く頷いた。もしかしたら何か言おうとしたのかもしれないが、男が先にそれを押しとめた。
「まったくよ、最後の最後まで勝てないんだもんなあ。でもま、最後の最後に最高の思い出ができたぜ。……悪い、消えるトコ見せたくねえんだ。時間が動くまで、あっち向いててくれねえか」
最後に一度だけ、片手を上げて。彼女が言われたとおりにした瞬間、頭上で再びヘリのプロペラ音が鳴りだした。すぐさま振り返ると、もうそこには誰もいない。それを確認したことでほんの少しだけ表情を沈め……彼女もまた糸が切れた操り人形のように、その場に気を失って倒れた。
のちに頭上を行き交うヘリのうち1機に救助された時にはすでに、夢想の中からその記憶は抜け落ちていた。彼女が覚えていたのは、ドラゴネクロを融合召喚したら頭痛がしたところまで。まさか青眼を使う男とデュエルしていました、なんて話を正直にするわけにもいかないので適当に誤魔化しはしたが、その間も彼女の心は晴れなかった。救助してくれた人たちの、彼女は学校が消えているのを改めて見たショックで気絶したのだろう、と勝手に解釈したのがいい方に出てあまり深く追求されなかったのは幸いだったろう。
そんな彼女の一日の裏で、砂の異世界では次なる異変が密かに進行していた。
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