暁 〜小説投稿サイト〜
忘れ形見の孫娘たち
15. 和之、みんなに煽られる。
[8/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初
だから僕はこっちに戻る。できるだけ、この小生意気でムカつく小娘と距離が開かないようにするために。

 この話を父ちゃんと母ちゃんに話した時、二人とも妙にニヤニヤといやらしく笑いながら僕の話を聞いていた。

「まぁなぁ……ニヤニヤ……男にゃ自分の生き方を変えざるを得ないときってあるよな」

 父ちゃん。ムカつくからその『いいんだよ。俺は全部分かってるから』って顔をするのはやめてくれ。

「……父ちゃん、何も言うなよ?」
「だってなぁ?」
「ねぇ」
「?」
「「すずやー!!!」」

 僕は至極真面目に話しているのに両親揃って何叫んでるんだッ!! 息子の醜態をあざ笑うのはやめてくれッ!!!

「だってなぁ」
「うん」
「頼むから自分の息子をからかわないで。僕は真面目に……」
「すずやー!!」
「返事しろ鈴谷!! ……女子校時代を思い出すわー……」
「あんたらそれでも僕の親かッ?!!」

……

…………

………………

 これが、僕が実家に戻ることを決めた顛末だ。僕はその日のうちに荷物をまとめ、一度自分のアパートに戻って出社。課長に辞表を提出したわけだ。同僚がお別れ会みたいなのをしようって言ってくれてるらしいけど、それは後日ってことにしてもらった。つーか別に退社するわけじゃないしね。

「かちょー。とりあえず環境整えましたよー」
『おうご苦労さん。んじゃ業務開始は明後日からだな』
「はい」
『お前の勤務評価は今後成果物メインになる。拘束時間はなくなるがその分残業という考え方もないし実績オンリーで評価が下されるから厳しいぞ』
「了解です」
『あと、お前は初めての自宅勤務社員だ。最初のうちは会社のシステム面で色々とトラブルがあるだろうが、軌道にのるまではのんびり構えとけ。気長に行こう』

 その日の夜。自分の仕事環境が整った段階で、一度Skypeで課長に連絡を取った。オンライン会議の時に利用するwebカメラなんかの動作確認も兼ねてだ。感度は良好。課長が話す顔もくっきり見えるし、僕の顔も課長にはハッキリと見えていることだろう。マイクの感度も問題ないようだ。すみませんねぇ課長日曜の夜だというのに……

『あと電気代だが、詳細が出せるようなら必要経費としてこっちで落とす。明細みたいなのを毎月出して……』
「かずゆきー。麦茶持ってき……て、あれ? なにやってんの?」

 課長と業務に関する話をしていたら運悪く……いやタイミングよく? 鈴谷が麦茶を持ってきてくれ、そのままこっちの画面を覗き込んできやがった。これどう見てもカメラに鈴谷写っちゃってるな……めっちゃカメラつんつんしてるし……麦茶のグラスで濡れた手でつんつんするからカメラちょっと濡れちゃったじゃないか……。

『斎藤、このお嬢さ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ