15. 和之、みんなに煽られる。
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解決方法が僕の心の奥底からむくむくと頭をもたげつつあった。この決断は、おいそれと軽い気持ちで下していい決断ではないけれど……今の御時世、かなり勇気が必要な決断だけれど……
――お前も満更でもないんだろ?
やめて爺様……今は僕をからかわないで。そういう言葉を囁かないで。
「仕方ないよねこればっかりは。こっちに帰ってくるときはLINEで連絡してよ。鈴谷絶対こっちに来るから」
鈴谷は笑顔でそう言うが……その笑顔には陰がさしていた。やめろ鈴谷。そんな目で僕を見るな。僕を惑わせるな。
―― 末永くよろしく頼むッ
ちょっと待って那智さん。今そういうこと言わないで。僕に余計な決断をさせようとしないで。
――鈴谷も今は和之さんの秘書艦みたいなものなんだから
頼むから。頼むから僕を惑わせないで。今の僕はひどく不安定だ。だからいくら大天使オオヨドエルといえどもやめて。
――行けるよ? 鈴谷とかずゆきが一緒なら
お前は実物じゃなくて僕の妄想の鈴谷だろうがッ! 本人が目の前にいるのに、僕を惑わせようと耳元で囁くなッ!!
――『ありがとう』
クソッ?!! 思い出させるなあの時のイヤな感覚を!!!
――いい加減素直になれや和之。
やめろ爺様!!
――鈴谷はね…… かずゆきが好きだよ
……だあッ!! 分かったよちくしょうッ!!
「んじゃ早速明日は半分の80人ほどを……」
「ふざけるな鈴谷……ッ」
「お?」
どいつもこいつも無責任に好き勝手言いやがってッ!!
「こんな普通のジャパニーズ・トラディショナル・ジッカに百人近くも客を収納出来るはずないだろうがッ!!」
「えー。でもかずゆき帰っちゃうんでしょ? その前になるべく……」
「人数は鈴谷を入れてせいぜい五人だ! それ以上はゆるさんッ!!」
「えー!! なんでそんな意地悪言うのー?! みんなかずゆきにお礼言いたいんだよ?!」
「ぁあクソッ……だからだなぁ……!!」
「?」
あーもう! 無責任だッ! こうなったら僕自身、人生に無責任になってやるッ!!
「僕がこっちに戻れば万事解決だろうがッ!!」
「え……マジ?」
決めた。僕は仕事をやめてこっちに戻る。一気に50人以上のコスプレ珍客集団を家に招待なんてできるわけないし。なにより……
「んじゃ、今までみたいに会えるの?」
「今までどおりとはいかんだろうが、ここに来てくれりゃ毎日会えるわ! 文句あるかッ!!」
「よかった! んじゃ今まで通り、少しずつみんなを呼べばいいよね!」
「これで文句ないだろう!! だからお前も毎日こい!!」
世界一受けとりたくない『ありがとう』を受け取った時のような気持ちはもうごめんだ。
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