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忘れ形見の孫娘たち
15. 和之、みんなに煽られる。
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の部屋に入るなりぶっ倒れて『クカー』って寝るし! 寝っ転がった鈴谷に『枕がないから』ってもたれかかってくるし!!」
「それはお前だろうがッ!! ホタル見に行った時も『一緒に鎮守府に行こう』つって僕の首にしがみついてきたくせに!!」
「それかずゆきだし! 鈴谷そんなことしてないし!!」
「僕がそんなこと鈴谷にするわけないだろッ!」
「したし! 『僕達ならいけるよ。キリッ』とか言ってたし!!」
「……母ちゃん、席外したほうがいい?」

 ハッとする僕と鈴谷。二人で台所を見る。……母さん、そのニヤニヤをやめてください。違うんです。これは間違いなんです。僕と鈴谷は何もないんです。

「いやー、母ちゃんいない方が思う様口ゲンカできるかなと。ニヤニヤ」
「いや母ちゃん、ホンット勘違いしないで」
「うーぃおはよー……いやーよく寝た……ぉお鈴谷ちゃん」

 眠そうな顔をして父ちゃん起床。年齢のせいで多少存在感が増した自身の腹をボリボリとかきながら居間にフラフラとやってきた。そして、僕と鈴谷を見比べるなり……。

「えーと……そのー……まぁ、なんだ。俺と母ちゃん、今日出かけたほうがいい?」

 と、父ちゃんにあるまじき無駄な心配りをしてくれる。だからそんなのいらんっつーにこの似た者夫婦は……。

「あなた、どこ行こう?」
「いや親なら真相を察してくれマジで! ホント何もないから!!」
「まぁまぁそう言わずに。ここは素直に俺達の配慮ってやつを受け取ってくれよ」
「そうだーかずゆきー! 人の好意は素直に受けろー!」
「そろそろ素直になったらどうだ和之?」

 素直になれってどういうことだ? さっぱり意味が分からん。調子こいて何血迷っちゃってるのうちの両親は?

「だってお前、昨日大声で『すずやー!!』って吠えてただろ」
「?!」
「ニヤリ」

 僕の顔から一瞬で血の気が引いたのが分かった。上半身にぞわっとしたイヤな感触が走り、瞬間、髪の毛の先まで身体がブルッと震えたのが分かった。ヤバイ。聞かれてたのかあの叫び……。

「……なんで知ってるんだ父ちゃん」
「だってなぁ……あんだけ悲壮な声で『返事しろ鈴谷!!』とか叫んでたらなぁ」
「なになに? 鈴谷と離れたのがそんなに寂しかったの? ニヤニヤ」

 やめろ。すっげームカつく。ニヤニヤ顔で僕を覗き込むな鈴谷。

「だいたいお前が僕のLINEに返事しなくて余計な心配かけたからだろうがッ!!」
「あー。そういやなんか切実そうなLINEがいっぱい来てたねぇ。鈴谷爆睡してたけど。ニヤニヤ」
「『ありがとう』なんて色々と余計な誤解を招きかねないメッセ残すお前が悪い!!」
「そらぁお世話になった人にはお礼言うのは当然じゃん? 眠くて眠くて素っ気なくなっちゃったけど
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