暁 〜小説投稿サイト〜
忘れ形見の孫娘たち
15. 和之、みんなに煽られる。
[4/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初
繋げちゃえばなんとかなるんじゃん?』

 僕は勢い良くドアを開け、部屋の中のヤツの暴挙にストップをかけた。

「人の商売道具をテキトーに並べて片っ端からつなげるな鈴谷ッ!!」
「ぉお?!! かずゆき?!」

 部屋の中にいた鈴谷は、頭に三角巾を巻いて掃除のおばちゃんみたいな格好をしていた。

 僕の前から鈴谷が姿を消し、爺様のアカウントが消されたあの日……僕はそのことに随分気持ちが沈み、その日の夜はほとんど寝られなかった。

 そして次の日……疲れてるにもかかわらずみんなに会えない不安で目が冴えてしまい、まったく寝付けなかった僕の目の前に……

「ちーっす! かずゆきおはよー!! いやー昨日は疲れたね!!」

 と鈴谷は何食わぬムカつく笑顔で姿を見せた。起きてきた僕よりも先に居間にいて、母ちゃんのパソコンを叩きながら『べしっべしっ』と僕の真似をしていた。

「……なにやってんの?」
「え……何って、かずゆきの真似しながらパソコン。べしっ」
「人の気も知らないで……昨日さ、なんで何も言わずに帰ったんだよ。しかも意味深なメッセージをLINEで残して」
「へ? それ鈴谷のセリフですけど……? なんで昨日、鈴谷に何も言わずに帰っちゃったの?」
「?」
「?」

 ん? なんか話が噛み合ってない気がするぞ?

「昨日ホタル見に行ったよね?」
「行ったねぇ。鎮守府から少し離れたところにある川にさ」
「いやいや、うちの近所の川ですやん?」
「いやいや鈴谷んちの近くの川だし」
「?」
「?」

 あれ? やっぱり話が噛み合ってない……?

「ま、まぁいいか。んでその後、爺様に会いに連れてってくれたろ?」
「いやいや、それかずゆきだし。かずゆきが鈴谷を連れてってくれたし」
「?」
「?」
「いや待てよ。お前昨日、ここにいたろ? 僕といっしょに寝たろ?」
「やだ……かずゆき大胆……べしっ」
「いやいやいや。ついでに言うとべしは余計」

 いまいち会話が噛み合わない鈴谷の弁によると……鈴谷は昨日、キャンプ場から自分の家……鎮守府に戻ったそうだ。その後鎮守府で朝まで爆睡。今朝早くに起きた鈴谷は、そのままこっちに遊びに来たとのことだ。

「でもさー。変なんだよねー」
「ん?」

 僕は鈴谷が僕の家に泊まったと思っていたが……鈴谷は鈴谷で、僕が鎮守府の方に泊まったと思っていたそうだ。『鎮守府に行ってみたい』と言い出した僕が鈴谷にくっついて鎮守府に行き、そのまま鈴谷とともに同じ部屋で爆睡したんだとか……?

「うわっ! なんかこええ?!! 僕も昨日、鈴谷がこっちに来て同じ部屋で寝たと思って……」
「かずゆきのえっちー」
「お前だって僕といっしょに寝たんだろ?!」
「仕方ないじゃん鈴谷
[8]前話 [1] [9] 最後 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ