暁 〜小説投稿サイト〜
忘れ形見の孫娘たち
15. 和之、みんなに煽られる。
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だった。

 騒がしいといえばアイツ。爺様が亡くなってからしばらくして、突如僕の前に姿を表したムカつく女子高生の鈴谷。

――あ、ちーっす!!

 未だに忘れない。初対面の時、見慣れたはずのうちの実家を果てしない異空間に返報させていた、あの鈴谷の存在感。僕が爺様のアカウントで艦これをプレイしてみたらすぐにメッセを飛ばしてきたり……その後いろんなコスプレマニアをうちに連れてきたり……家族と焼き肉した時は僕の肉を片っ端から強奪していったり……最終的には僕が二回目の告別式を決心するきっかけになった、明るい笑顔が最高にムカつく水色の髪の女子高生。

――じゃあさ! 一緒に行ってみようよ!

 仲間たちのために必死に駆けまわるような優しい性格で……でもみんなと溶け込めなくてちょっと悩んでたり……時々僕の手を握って力になってくれたり……あの日、ホタルを見せたらすごく喜んでくれて、僕を爺様と引きあわせてくれたり……

 実家の前に到着する。あの日に異彩を放っていた鈴谷の後ろ姿はない。いつもの見慣れた実家だ。玄関のドアを開ける。ガラガラと音を立てる引き戸。玄関には父ちゃんと母ちゃんの靴やスリッパが散乱している。

「とっちらかってるなぁ……」

 靴を脱いで上がる。一つだけ異彩を放っている小さなローファーがあるが気にしない。

「ただいまー」
「おーう。おかえりー」

 居間から父ちゃんの声が聞こえた。今日は日曜だから父ちゃんは仕事は休みか。居間に行くと、台所からは野菜を切るトントンという音が聞こえる。母ちゃんが晩御飯の準備をしているようだ。

「僕の荷物は?」
「部屋に上げてくれてあるぞ」
「そっか」
「さっきひーこらいいながら運んでたな。早く行って手伝ってやれ」

 見ているテレビの片手間という感じで、めんどくさそうに父ちゃんがそう答えた。そっか。手伝ってくれてるか。だったら早く部屋に行こう。環境を整える必要もある。あと2日休暇は残ってるけど、ヒマな今のうちに環境をすべて整えておきたい。生前の爺様が構築したネットワーク環境も整えておきたいし、この家のどこかに隠されたサーバーも早く見つけなきゃ。

 荷物を持ったまま、自分の部屋に向かう。高校生の頃まで使っていた部屋で、その部屋は今も僕が帰ってきた時に使わせてもらってる。部屋の前に立つと、中で待ってるアイツの声が聞こえてきた。

『ちょっとぉー……マジ無理……何をどこに置けばいいの……』

 いい気味だ。だいぶ苦戦してるようだ。サーバーに使うデスクトップやらネットワークストレージやら諸々持ってきたからな。配線やら何やらがそら大変だろう。……つーか無理して自分で全部一人でやらなくてもいいんだけど。

『……まぁいいか! テキトーに並べて片っ端からコードで
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