第十話 再開を祝して
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理もない。俺も震えていた。翔鶴が消えるんじゃないのかと。あの優しい妹思いの、誰からも慕われる彼女がこの世から消えてしまうんじゃないのかと。
轟沈は免れたようだったが、それでもヤバい状況には変わりはない。俺は急いで佐世保鎮守府に高速修復材そのほかの資材を割くことに決め、軍用機で佐世保鎮守府に飛ばした。なんといってもうちの主力艦隊が世話になっているんだ。それくらいのことはしてやらなくちゃな。だが、それだけでは不安だ。万が一の時のために、俺は今度こそコネクションを総動員して、軍令部直轄の医療機関からあるものを手配して、急きょ佐世保に飛ばすことにした。多少強引な手段をとったが、命には代えられない。間に合ってくれればいいが。
こんな時に本当に忌々しいが、俺は鎮守府を留守にできない。副官以下に任せられないかと思い、会談を名目にして上層部に打診したがあえなく却下された。ダメだという。チッ!!仕方がないので、俺は毎日祈ることにした。無宗教だったし、ゲン担ぎと言えば見送りに行かないことくらいしかないのだが、それも効果が終わってしまったようだ。なので公然と神頼みだ。笑うやつは笑えばいい。だが、翔鶴が助かるのなら俺は何でもする。翔鶴だけじゃない。どの艦娘が翔鶴のようになろうと、俺はこれからもそうするつもりでいる。
非情というかまっとうというか、軍令部は南西諸島制圧後に直ちに陸海軍の上陸部隊を編成して島を掌握、基地を建設してあっという間に一大航空基地を作り上げてしまった。驚きだ。これで南西諸島方面ににらみを利かすつもりらしい。当然その後には南西諸島深海方面に進出するんだろうと思っていたら、どうも違うようだ。
俺が得た情報では、軍令部は、南西諸島方面は最小限の防衛ラインを構築しておいて、まずはノース・ステイトとの通信回復を図ることを急務にしているらしい。この「らしい」がつい先ごろ確信に変わった。何故なら、太平洋方面に大規模な作戦を発令するんで、麾下精鋭艦隊を横須賀に回航するように準備しておけなどという指令が下ってきたからだ。休む暇もない。最悪だ。なんといっても俺の大切な艦娘たちを他人の指揮下に置くのはどうも気に入らない。
なんとかしなくてはならないよな。こりゃ。
今回の作戦、結果を受けて初めて敵の意図が分かった。敵は初めから艦娘たちを目標にしていた。南西諸島を餌にしておびき寄せ、各個撃破を図ってきたのだ。各艦隊が島を制圧し敵が緩み、別働隊との距離が最大限に開き切ったところを狙ったんだ。まず別働隊を襲い、動揺して出撃してきた艦隊を各個撃破していく狙いだったんだろう。幸いというか別働部隊が持ちこたえたので、何とかなったけどな。ぞっとする。
紀伊について少し気になることがあった。第七艦隊の時もそうだったが、今度の場合にも紀伊の奴は駆逐艦以上の
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