16話
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するのだ。放課後は埋まっている」
篠ノ之さんの一言。特訓しなければならない、というよりも篠ノ之さんのそれはもう少しベクトルの違う感情が見えた。その感情が何なのかまでは分からない。篠ノ之さんのその言葉に鈴さんは厳しい視線を篠ノ之さんに飛ばした。
だが、篠ノ之さんの言葉も間違いではないのだ。それなら、その中間……。
「……でしたらこうはどうでしょうか? 一夏さんはトレーニングしなくちゃいけないのもそうですが、旧友の鈴さんと話すことで息抜きも出来るのも間違いではないしょう。でしたら、今日のトレーニングはやや早めに切り上げて、その後は鈴さんと昔話を楽しめばいいんじゃないかなと。一夏さんはどうです?」
「ああ、それなら助かる。俺も久しぶりに鈴と話したいことはあるしな」
「鈴さんも篠ノ之さんもこれでどうですか?」
「あたしは構わないわ」
「……そんなところだろう」
そっけない言葉ではあったが鈴さんは嬉しそうな表情を隠せないでいた。それとは対照的に篠ノ之さんの表情は苦虫を噛み潰したような苦い表情だった。
―――――――――
トレーニングの終了時間を告げるブザーがアリーナに鳴り響く。俺がアリーナのど真ん中で大の字で倒れていた。運動量の多さに呼吸は乱れ、心臓が悲鳴を上げて痛みを訴えている。
視線をズラすと鬼一とセシリアの2人が1台のタブレットの画面に覗き込みながら、今日の俺の動きの良い点、悪い点を振り返っているようだった。トレーニング終了後は2人からの総評を受けて俺が修正に活かしていくのが基本。
しかし、2人には頭が上がらない。2人とも自分たちの時間を削って俺のために力を振るってくれている。セシリアの説明はめちゃくちゃ細かく、理論的な説明で分かりにくいが鬼一が分かりやすく噛み砕いて俺に説明してくれる。鬼一の説明は分かりやすく理解できるのだが、俺はまだそれを上手く反映できていない状態。……出来の悪い生徒で申し訳ない。
鬼一も自分のトレーニングを行っていたため肩で息をしている。というか俺より動いていた。疲れてはいるみたいだが俺のように倒れるほどの疲労はなさそうだった。セシリアに至っては俺と鬼一のトレーニング両方に付き合っていたのに、息も顔色も変えずに平然としている。……代表候補生ってホントに人間なのか?
「ふん。鍛えていないからそうなるのだ」
俺に容赦ない言葉を投げかけてくる箒も汗を流して疲労が見えるが、俺ほど疲れてはいない。そりゃそうだろう。俺は機動に関する基礎訓練を鬼一と一緒に繰り返し行って、その後は実戦形式の1対1を3回連続でバトってんだから疲れもする。箒は1対1の時の1回のみだ。疲労に差が出ても不思議ではない。
……しかし、機動に関して鬼一とあんだけ差がつい
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