16話
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んでもなく、別人にしか見えないのだ。
そして、通路で見せたあの無機質な、全ての感情が削げ落ちた人形のような表情。あれが今も私の脳内にこびりついている。人間の顔ではなかった。あんなのが人間の表情とはとても思えない。
にも関わらず、私と模擬戦したときは一夏くんに対して見せた執念は見えなかった。そのことが妙に引っかかる。
カチカチとマウスをタップする音が室内に響く。
月夜 鬼一、―――年6月21日生まれ。北海道出身。7歳までは北海道で暮らしていたが、両親の仕事、IS開発で関東に移住。両親は元々、北海道の小さな研究所で活動、だが月乃宮研究所に引き抜かれた。当時の所長である月乃宮 源蔵氏と協力し第2世代IS『鬼』の開発に成功する。
関東の学校に転校後、女尊男卑によって生み出された歪み、つまりは陰湿なイジメに晒され10歳の時に不登校。不登校になった後は1度も学校に通ってはいない。勉学などは全て両親や、両親の職場の月乃宮研究所で教わる。当時、近所で知り合いだった女性プロゲーマーのアヤネ氏に近くのゲームセンターに連れて行ってもらうことが唯一の娯楽。
その後は時間を見つけてはゲームセンターに通う日々が続き、12歳の誕生日を迎える前にアークキャッツにスポンサードの話を受ける。12歳の誕生日の際に両親の職場である月乃宮研究所に迎えに行った際、ISの事故に遭遇。両親はその際他界してしまう。《事故に関するデータファイルを添付》
その後はアヤネや同じアークキャッツのチームメイトにして格闘ゲームe-Sportsのバイオニアである柿原 大吾に支えられながら各地を転戦。最初期の成績はメンタルが崩れていることもあってか、勝ち星を拾うことはほとんど叶わず。ランキングも底辺を彷徨っていた。しかし、一部の試合ではトップクラスのプレイヤーに土をつけ勝利を収めており、不思議なプレイヤー、運の良いプレイヤーと言われていた。
しかし半年を過ぎたあたりからそれまでのプレイスタイルが一転、彼は経験を補うために莫大なデータから戦略を作り出すプレイヤーだったが、相手の弱点を容赦なく、無慈悲に突き続けるスタイルに転換。そのあまりの華のない、冷酷と言えるほどの戦い方から一部では鬼と囁かれていた。
まだ続きはあったが、そこで1度視線を切る。添付されていたデータを開く。
そのデータを開き、そこにあった事実に自分の表情が強ばることを実感した
―――――――――
仕事が終わった千冬はIS学園の1年生の寮にある自室、寮長室に戻る。部屋に入り1日の疲れを吐き出すように深い溜息を零す。
散らかった部屋を気にすることもなく、スーツの上着を脱いでハンガーにかける。普段の仕事で使うものに関しては丁寧に扱う。千冬は少なからず自分がどのように
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