五十七話:正義の敵
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思うわ」
「……はやては切嗣のところに行ったのか?」
ヴィヴィオを抱えて走りながら状況を確認するなのは。その横をシャマルが走り、さらにヴィータを背に乗せたザフィーラが続く。なんとも珍妙な一向であるが会話の内容は至って真面目である。
「……ええ。リインちゃんと一緒だから大丈夫だとは思うけど」
「ま、大丈夫だろ。な、ザフィーラ」
家族であっても容赦なく殺しに来たかつての切嗣を思い浮かべて心配そうな表情を浮かべるシャマルにヴィータは励ますように声をかける。ザフィーラもまた同意を示す唸り声をあげる。
「最強などという存在はまず存在しない。どれだけ強くとも必ず勝てるなどありえんからな。だが、我らが主は―――決して負けることはない」
その言葉には騎士達が己の主に寄せる全幅の信頼があった。
切嗣がキャリコから大量の銃弾を放つ。しかし、それは全て同じように打ち出された鉄球によって打ち消される。間違いなくこの技はヴィータの技だ。いつの間に習得していたのかと言いたくなるがはやては夜天の主、騎士達の技が使えても不思議ではない。だが、なぜ“グラーフアイゼン”を持っている?
「シュヴァルベフリーゲン!」
「ちっ、またか。固有時制御――二倍速!」
再び飛んでくる鉄球の合間をすり抜けながらナイフを手に持つ。鉄球そのものである攻撃に対しては起源弾も意味がない。先程から頑なに単純な魔力防御を行ってきていないのはこちらの切り札の存在を知り警戒しているからに違いない。恐らくは唯一の生還者であるシグナムから効果を聞き出したのだろうと結論付ける。
(しかし、それならそれで好都合だ。はやての特性は広域殲滅型。起源弾の効果を発揮しやすくはあるが魔法が止まらなければ相打ちになる確率が高い。この後にスカリエッティの相手をして願いを叶えなければならないと考えればできるだけリスクは犯したくない)
故に相手が不得手な接近戦で挑んでくるしかないのであれば有利に戦況を運ぶことができる。そう結論付け、はやての懐に入り込みナイフをその柔肌に突き立てようする。その瞬間だった。切嗣は背筋に悪寒を感じ全速力で後退する。
「ええ勘やな、おとん」
つい先ほどまで切嗣が居た場所をレヴァンティンで斬り裂きながらはやては静かに呟く。対する切嗣は訳が分からずに思考が纏められなかった。はやてがあのような戦いをするなど今までの管理局のデータには載っていなかった。おまけに騎士達の武器のコピーのようなものを創り出し使っている。
「驚いとるな、おとん。まあ、この戦い方は対おとんの為に鍛えてきたものやからな」
「なん…だって…」
「私だってこの十年間遊んできたわけやない
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