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大統領の日常
外伝一話
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騒がしくなっていた。
火事でも起きたのだろうか。心配になったので外の様子を見てみることにした。

そこには軍のトラックが数台止まっていた。中から次々と兵士が出てくる。制服からして恐らく親衛隊だろう。

親衛隊とはペルシャール・ミースト氏が大統領に就任してから設立した、主に大統領とその周辺人物を警護するその名の通りの親衛隊だ。正式名称は"大統領直属武装親衛隊"、通称"SS"。大統領の命令によっては憲兵隊のような役割をすることもある。

親衛隊の兵士が隣の家に向かっていった。確かあそこはウォルフィーナさんの家だったはずだが、何かしたのだろうか。親衛隊の隊長と思われる人物がマイクをもって話し始めた。

「大統領閣下のご命令により、ウォルフィーナ・ローゼを逮捕に来た!おとなしく出てくればよし、もし抵抗するというのであれば、親衛隊の恐ろしさをその身をもって知るであろう!」
「返答まで3分間の猶予を与える。既に貴様はわが部隊の完全な包囲下にあり、退路はすでに失われた!逃亡することは不可能である!両手を上げ、降伏せよ!」

1分後玄関のドアが開いた。親衛隊の隊員が銃を構えた。中からは両手を上げてローゼさんが出てきた。
さっき大統領のご命令と言っていたが何か大統領に対してしたのだろうか?
親衛隊の隊員がローゼさんの両手に手錠をかけた。その瞬間ローゼさんが叫び始めた。
「私が何をしたっていうの!大統領は法を破っていいなんて言う法律はないわよ!!訴えてやるわ!覚悟しなさい!!」
彼女には何の事かわからないらしい。すると親衛隊の隊員が彼女の腕に注射器を刺した。彼女はすぐに叫ぶのが止まり、気を失ってしまった。おそらく催眠薬か何かだろう。気を失ったのを確認した親衛隊の隊員はトラックに彼女を乗せた。他の隊員もトラックに乗車した。


西暦2114年 5月 9日
とある市民


あの逮捕から2日が過ぎた。私は昼食をとりながらテレビをつけた。するとちょうどニュースをやっていた。

「…次のニュースです」
「おととい親衛隊によって逮捕された。ウォルフィーナ・ローゼ(47歳)の裁判が先ほど終了しました。裁判の結果、ヴァルテック鉱山で永久労働と決定されました」
・・・ヴァルテック鉱山といえば首都から遠く離れた弩辺境の鉱山だ。掘り出されるのは鉄・銅・石炭。
あそこは業者などが採掘作業をするのではなく、今のように囚人が刑罰として採掘を行う。これにも懲役があり、最低でも2年、最高だと今回のような永久労働となる。民主主義の国でこのような刑罰を与えるのは例がないことだが、目立った反対はなかった。これは大統領の人格もあるがここに入るものはそれ相応の罪を犯しているものばかりであり、市民の中でも”自業自得””それだけのことをしたのだから当然”と言われている
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