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不器用なマジシャン
3部分:第三章
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第三章

「人の身体なんてそれぞれですしそれで差別するっておかしいですよ」
「河原崎君はそう言うんだね」
「はい。それよりもです」
「それよりも?」
「性格の方が問題だと思いますよ」
 彼が問題とするのはそちらだった。人格の方がだというのだ。
「ほら、人格障害者っていますよね」
「いるね、そういう人間も」
「とんでもない性格の奴の方が問題だと思いますけれどね」」
「大切なのは性格ですか」
「はい、性格です」
 そこだというのだ。亮太が問題としているのはだ。
 そしてだ。彼はこう話すのだった。
「大事なのは性格ですよ。それが一番問題ですよ」
「そういう考えだからだね」
 小津の言葉がしみじみとしたものになった。その言葉でだ。
 彼はだ。今着替え終えた亮太にこう話した。
「いや、だからだね」
「だから?」
「この仕事を受けてくれたんだね」
 彼に今言うのはこのことだった。
「それでなんだね」
「俺の性格ですか」
「人の心を見る、外見じゃなくてね」
「だから性格が悪いとどうしようもないじゃないですか」
「その心、大事にしてね」
 小津はまた彼に話した。
「本当にね」
「はい、そうさせてもらいます」
 こうしたやり取りの後でだ。そうしてだった。
 彼は着替え終えてだ。そのうえでマジックを披露する場所に向かった。そこは体育館であった。明るい茶色、木のそれの床の体育館の舞台がその場所だった。
 舞台裏に入るとだ。そこにはだ。
 小柄で鼻の長いショートヘアの女の人がいた。髪は黒く目は少し垂れた一重である。唇は小さめでやや厚い。大きな耳がそのショートヘアから見える。服は黒いシャツと白いズボンを着ている。 
 その人がだ。亮太が来るとこう言うのだった。
「では御願いします」
「はい、こちらこそ」
 御互いに一礼する。しかしだ。
 その女の人の方がだ。頭を深く下げた。そしてだ。
 頭をあげてだ。こう亮太に言うのだった。
「もう皆来ていますから」
「子供達がですね」
「はい、楽しみにしています」
 亮太に言う言葉はこうしたものだった。カーテンの裏でだ。亮太に言うのだ。
「その子達の為に」
「わかってます。それでは」
 こうしたやり取りからである。亮太は舞台に出た。そして前を見るとだ。
 車椅子の子や松葉杖の子がいる。手が曲がってしまっている子もいる。それぞれ違いがある。だが彼はその子達に対してだ。
 自分のマジックを全力で披露した。腹話術をしてみせて手錠を抜けてだ。最初は何も持っていなかったのにトランプのカードを次々に出してみせる。
 その他にも手に花を出してシルクハットから鳥も出してみせた。そうしたマジックを次から次にしてみせてだ。子供達を喜ばせたのである。
 その間だ。ずっ
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