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魔法少女リリカルなのはStrikers〜誰が為に槍は振るわれる〜
第一章 夢追い人
第9話 とあるスパイを自称する陸曹の日常
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 気が乗らない?いやいや、それは違う。

 スクリーンにいくつも映されたウインドウに視線を飛ばしながら、ラディはセラフィムに心の中で話しかける。

 スパイなんてただの口実(たちば)、たかが切っ掛けに全力で打込んでやれるほど、今の自分には余裕はないのだ。

 だがもしこの機動六課が、自分の思惑通りにならないようなら、守る価値がないどころか、むしろ潰してしまった方がいいと判断したならば、その時は――
  
 開いたウインドウに並ぶ文字列を視線でなぞりながらラディはほんの少し目を細め、静かに最後のキーを叩いた。

「ま、今はその下準備ということで」
?……それがうまくいかないからボヤいてるんですがねー?

 一仕事を終え、軽やかに笑うラディにうんざりとした様子でセラフィムが声を掛ける。
 しかしラディは気にした様子もなく再び、機動六課ライトニング分隊副隊長としての仕事に戻っていった。
 それまでやっていた、本人にとっては“副業”の仕事振りが嘘のように、真面目に、デスクワークをこなしていった。


○●○●○●○●○●○


PM.12:15

「二人とも良く食べるなぁ〜」

 午前の訓練を終え、今は楽しいランチタイム。ラディとFW陣、シャーリーは一緒に食事を取っていた。

 話題はスバルの家族について。訓練の帰りの八神部隊長とのやり取りが切っ掛けとなり、それならみんなの家族はどういう感じなのか? という流れで話が弾んでいったのだった。

「なるほど、スバルさんのお父さんとお姉さんも陸士部隊の方なんですね」
「うん。八神部隊長も一時期、父さんの部隊で研修してたんだって」
「へぇ〜」
「二人とも優秀だからな〜」
「……父さんとギン姉のこと知ってるんですか?」

 ラディの一言にフォークの手を止めたスバルが聞き返した。
 その声に少し敵意が混じっているのは、ラディの立場からすれば仕方のないことだろう。
 ラディはその敵意を慣れたものと受け流しながら、軽い調子で話を進めていく。

「そんな怖い顔しなくても大丈夫だ。ただ単に獲物が被っただけだよ。オレだって年がら年中スパイをやってるわけじゃないし、スパイやってる先で普通の局員の仕事をするときだってある。たとえば今みたいにな」
?まぁその後、どっちの手柄で捕まえられただの、犯人の身柄はどっちのものだのと色々揉めましたけどねー?
「……お前の父さん、笑顔は優しいのにそういうところは頑固で譲ってくれないんだよな」

 昔を思い出したのか食事の手まで止めて頭を抱えるラディに、スバルも毒を抜かれたのか、気の抜けた笑顔を浮かべながら山盛りのスパゲッティを口に放り込み始める。
 そんなスバルとラディの意外な接点に、ティアナがそういえばという感じで話
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