暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikers〜誰が為に槍は振るわれる〜
第一章 夢追い人
第9話 とあるスパイを自称する陸曹の日常
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AM.05:28

「……夢、か」

 機動六課隊舎、男子寮。その一室。
 部屋の隅に設えられた二段ベッドの下のベッドで、ラディオン・メイフィルスは目を覚ました。
 目覚まし時計の騒々しい音もしないいつもの静かで寂しい自室で、ゆっくりとベッドから抜け出し、そしてなにもない虚空をただぼーっと眺める。

 懐かしい夢。初めのほうの夢まで遡れば、もう何年前になるか分からないような昔のことの夢だ。
 そんなものを今更になって夢に見るというのは、きっと、自分が色々と焦っているからだろう。

 ダメだな。

 このチャンスは恐らく、神が与えた一生に一度のチャンスだ。
 それが分かっているからこそ、そのことが頭のすべてを埋め尽くしてしまう。
 機動六課は、まだあと一年近くある。
 今からこの調子では、後が続かない。
 必要なのは、適切なときに必要な行動をとること。
 自分の“雇い主”の思惑(やぼう)を見抜かれないこと。そして、その裏にある自分の真意(ねがい)を、時が来るまで誰にも悟られないこと。

 そして、自分の正体を、隠し通すこと。

 そのためには、休めるときにはしっかり休まなければならない。
 そうしなければどこかで必ず“ボロ”が出る。
 
 そうと決まれば話は早い。
 ラディはとりあえず、半ば朝の習慣と化したその“嫌がらせ”を始めることにした。

 寝ている間に凝り固まった筋肉を解しながら、備え付けのデスクへと歩み寄り、デスクの上に置いてあるランプへと手を伸ばす。
 明りの角度を調整するための球形の関節部分を弄った後、何かに納得したように頷き、ベッドの方へと戻っていく。
 ベッドの淵まで戻ったラディはそこで一度深呼吸。頭を垂れて目蓋を閉じ、徐々に徐々に集中力を高めていく。

 そしてシャツのボタンに手を掛け――朝の日課を始める。

「ふぅン……っ」

 くぐもった声を漏らしながら腕を振り上げボタンの外れたシャツを両手首の位置まで跳ね上げる。
 跳ね上げたシャツを絶妙なタイミングで腕を振りおろし右の手首だけに引っかけ、一歩前へと踏み出しながら腕を、シャツを、その体に艶めかしく巻きつけながらその場で華麗にターン。

 そして――決めポーズ。

「――ふァっ!!」

 今にも飛び立とうとする飛鳥の翼のように軽やかに、しかし雄々しく腕を広げ、足を交差することで腹部を締めながら露わになった上体を惜しげもなく見せつける。
 
「んっ」

 唇の隙間から漏れ出た声とともに前に出した足を回して後ろの足へと合わし、ジャージのゴムへと手を掛ける。
 膝をゆっくりと曲げ身体を落としながら、するするとズボンを腿の下へ、そして膝の下へと降ろしていく。
 そのまま後ろへと倒れこみ、背中を軸に体
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