Side Story
少女怪盗と仮面の神父 21
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の家を目指していたが、肝心な家人が行方不明で、家の鍵を入れていたバッグも、今は手元を離れている。
こうなれば、ミートリッテが取るべき行動はただ一つ。
グレンデル親子の家にある何かを、自分の目で確認するしかない。
(アーレスト神父は私を家に送った直後から消息を絶ってる。アルフィンは昨日一日、いつも通りに過ごしてたところを村内のそこかしこで誰かしらが見てるし、ハウィスは昨夜も普通に出勤してたのに、二人共今朝には消えてしまった。バーデルの軍人と警備隊と自警団、何があったか知らないけど、揃っていなくなった時機が悪すぎるのよ! 見てくれは繊細美人でも一応は成人男性な腹黒神父はともかく、ハウィスとアルフィンは多分捕まってる。早く助けなきゃ、何をされるか……っ!)
現状、ミートリッテと失踪者を繋ぐという何かの他に、有力な手掛かりは思い付かない。
盗み聞く会話の中であれとしか形容されない物の正体を確かめる為には、グレンデル親子の家へこっそり忍び込むしかないが。
それにはまず、村中を動き回る村の人達の目から逃れ続ける必要がある。
目的地は住宅区の東端、漁で獲ってきた魚を保管する施設のすぐ近く。
けれど、目の前には二頭立ての馬車二台が余裕ですれ違える幅広な坂道が横たわり、見晴らしがいい空間を大きく開いている。
ミートリッテの素早さなら一分と掛からずに駆け抜けられる距離だが……陽光が残る空の下、四方八方を絶え間なく見渡す大勢の誰にも見つからず、となると、さすがに厳しい。
その上たとえここを切り抜けても、目的地の周辺ではきっとグレンデルを気遣う厚い人壁が出来ている。
今のミートリッテにはシャムロックの仕事で使う道具が無く、村の人達の気を逸らして逃げ切れるだけの手段も自信もない。
はっきり言って、お手上げだ。
いっそ細かいことを全部無視して暴れられたら、どれだけ楽な話だろう。
だけど。
自分が表に出てしまったら、村の人達をより深刻な危険に曝してしまう。
村の存続すら危うくする選択だけは、絶対に避けたい。
暗くなった後、本格的な夜が来るまでに、海賊が東寄りの崖の向こう側へ現れるまでの間に、なんとしてもアルフィン達の無事を確かめなければ。
(アルフィン、グレンデルさんが帰ってきてるんだよ? やっと会えるね。二人共、この日をずっとずっと待ってたんだもん。お互いにただいまって、お帰りって、言わなきゃダメだよ)
早く彼女を連れ戻して、滅多に見せない笑顔を咲かせてあげたい。
嬉しそうな親子の顔を見届けるのは、ミートリッテにとっても喜びだ。
響き渡る友達の名前を背に、膝を強く抱え……
「おい! あっちにミートリッテ
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