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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百十四話 明日への展望
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メルカッツ達の六個艦隊では落とせない可能性が高い。つまり増援が要るだろう。今、俺は別働隊の残存艦隊を率いてヴィーレンシュタイン星域に向かっている。

ラインハルトは残りの艦隊を取りまとめシャンタウ星域だ。イゼルローン要塞攻略なら全艦隊を動かす覚悟が要るだろう……。


「クレメンツ提督、ミュラー提督の意見も判りますが、イゼルローン要塞を攻略するとなれば全艦隊を動かす必要があるでしょう」
「小官もそう思います」

「となれば補給が問題になりますね……。補給が途切れれば今度はこちらが地獄を見ます。残念ですがそこまでの準備は出来ていません。今回はここまでにしましょう。メルカッツ提督、皆をまとめてシャンタウ星域に戻ってください。そちらで落ち合いましょう」
「はっ」

メルカッツとの通信が終わったあと、ラインハルトとの間に通信回線を開いた。追撃の打ち切りを伝え、シャンタウ星域での全軍集結を伝える。

俺がイゼルローン要塞攻略論を退けたのは補給だけがネックになったからではない。真の問題は皇帝フリードリヒ四世の寿命だ。

ヴィーレンシュタインからイゼルローン要塞まで約二十日はかかる。イゼルローン要塞からオーディンが四十日、戦闘を含めず往復だけで約二ヶ月はかかる計算だ。

今は八月の下旬だ。二ヵ月後といえば十月の下旬になる。原作ではフリードリヒ四世は十月に死んでいる。この世界でもフリードリヒ四世が十月に死ぬとは限らない。しかし無視は出来ない。

厄介なのはこの世界では、誰もが皇帝崩御は内戦の始まりだと見ている事だ。原作ではそのあたりは希薄だった。少なくとも皇帝崩御までそれを考えていた人間がどれだけいるか……。

そしてブラウンシュバイク公、俺はこの男が原作で語られるような愚物だとは思っていない。俺が見たブラウンシュバイク公は欠点はあるかもしれないが軽視して良い人物ではなかった。そうでなければアンスバッハがあそこまで付いていくはずが無い。

皇帝崩御、宇宙艦隊がオーディンに居ないとなればどう出るか。一応モルト、リューネブルクに押さえさせているが、先ず動く、動こうとすると見て間違いない。千載一遇の機会なのだ。

宇宙艦隊が遠くにいればいるほど彼らは動き易くなる。俺が敵をシャンタウ星域まで引き寄せたのも出来るだけオーディンの近くで戦いたかったからだ。その方がブラウンシュバイク公たちを抑えやすい。

更に言えばシャンタウ星域からリッテンハイム、ブラウンシュバイク星系は遠くない。いざとなればそちらを制圧、あるいは威圧し牽制するという手もある。

国内に不安を抱えていては全軍を挙げての大規模な外征は出来ない。やはり国内問題の解決を最優先で行う必要があるだろう。つまりこの世界でもリップシュタット戦役が必要だということだ

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