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SAO−銀ノ月−
第百十二話
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二対のエンドフレイムを身体に浴びながら、これで全員か――とショウキは辺りの気配を探りながら、リーファのサーチャーで調べた敵数と、自分が倒したフード付き妖精の数を逆算する。あのリーダーたるグウェンを除けば、まだ三人ほど取りこぼしているようだが、特にそれらしき気配は近くに感じない。逃げたかリーファたちのところにいるか、そのどちらかだろう。

「…………」

 ――だが、その姿を消した敵の一人。今し方三人と戦っている間に、いつの間にか姿を消していた一人のポンチョ付きが、どうしてもショウキには気がかりだった。その格好は元より、フード付き妖精とは違う、本物の殺気だった気配のような――

「ふぃー……」

 ――今は考えるのを止めておこう、とショウキは森の中で気の抜いた息を吐いた。何しろ戦いが戦いだったため、少々気を張ってしまっていたが、髪をガリガリと掻いて普段の雰囲気に戻す。今回も役に立ってくれた、愛刀こと日本刀《銀ノ月》を鞘に締まって撫でながら、気を取り直して翼を展開する。

「……よし」

 自分の仕事は終わったとなれば、ショウキのやることはただ一つ。……どうせ無理をしているだろう、リズを見守ること。



「――いい加減倒れなさいよっ!」

「まだだって言ってんでしょうがぁ!」

 そしてリズとグウェンの戦いは、お互いに譲らない泥試合と化していた――いや、リズが無理やり追いすがろうとしている、といった方が正しいか。普段より多めの装甲を装備してきたリズに、慣れぬ空中戦ではグウェンも装甲と装甲の隙間を突き刺すことは出来ずに、地道に削るしか出来ずに。対してリズの方も重い装備に引きずられ、メイスの一撃をグウェンに掠めることすら出来なかった。

「貰ったぁ!」

「――ッ!」

 どちらも苛立った気合いをぶつけ合っていた戦いは、グウェンがそのスピードを活かして回り込み、リズの空振りを誘発して背後に回る。そして、リズが鎧に包まれていない部分――つまり、翼の根元を狙って忍刀を煌めかせた。

「ひゃ……ぁぁあ!」

 その斬撃は的確にリズの翼を切り裂くことに成功し、空中を自在に飛翔する権利を失ったリズは、ただ重力に従って地面に落下していく。地道にグウェンに削られ続けていたHPゲージは、高所からの落下ダメージには耐えられるものではなかったが――リズは近づいてくる地面を見ながら、メイスの柄をしっかりと握る。

「ええい!」

 着地の瞬間にメイスの重単発ソードスキルを地面に当て、落下の衝撃を相殺する――ものの、空中にいたグウェンの追撃の蹴りが炸裂し、リズの身体は地面に放り投げられた。大地をゴロゴロと回転した後、それでもまだリズは立ち向かう意志を捨てず、空中に飛翔するグウェンを睨みつけて立ち上がる。

「いい気分
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