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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第八十六話 余波(その2)
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船だ。スクランブラーの機能が無いか、有っても脆弱なはずだ。盗聴しようとすれば難しくは無いだろう。奴が同盟軍の艦に移るまでは歯痒くても遠回しな表現をしなければならない。
もっとも話をするのはトリューニヒトとシトレだけだ。私とホアンは話はおろかスクリーンにも映ってはいない。トリューニヒト達からは少し離れた場所に居る。我々四人、いやヴァレンシュタインも入れれば五人の繋がりを周囲に知られてはならない……。
『反乱軍の首魁である最高評議会議長は如何されたのです? 法秩序委員長もですが……』
「暴虐なる帝国人とは関わりたくないそうだ」
『残念ですね、それは』
ヴァレンシュタインの笑みが大きくなった。どうやら嘲笑だな、議長が嫌いらしい。
「まあ最初に帝国側と接触したのは私とシトレ元帥だ。その方が良いだろう、変な混乱をせずに済む」
『そう言って貰えるとお引合せした甲斐が有ったというものです』
「喜んで貰えて嬉しいよ。君を失望させたくは無いからな」
トリューニヒト、シトレ、ヴァレンシュタインの三人が笑みを浮かべている。やはりヴァレンシュタインは軍が全面に出る事を望んでいる。ホアンに視線を向けると彼は大きく頷いた、私も頷く。先ずは想定通りだ。しかし、狸と狐の化かし合いだな、酷い会話だ。
『しかし、いずれは最高評議会議長の職責に有る方が交渉に臨むべきだと思いますね』
「……」
トリューニヒトの顔から笑みが消えた。ヴァレンシュタインが何も気付かぬように言葉を続けた。
『あちらに対して失礼ですし、それにトップ会談の方が物事を決めやすいという利点が有ります。特に大きな問題ほどそうです』
「なるほど」
『まあこれは私の私見ですが』
「いや、私も同意見だよ、ヴァレンシュタイン提督」
トリューニヒトがまた笑みを浮かべている。ヴァレンシュタインも同様だ。政権を取ると言う事か、いや政権を取らなければ和平は難しいという事だな。確かにサンフォードでは和平は無理だろう。ホアンが私に“時が来たようだな”と囁いた。同感だ、確かに時は来ている。
「帝国側とは色々と相談しながら事を進めていくことになりそうだ」
トリューニヒトが“色々”という部分に少し力を入れた。あるいは入れたように思えただけかもしれない。しかしその“色々”には地球の他に和平の事も含まれているはずだ。
『そうですね、両国の未来に関わる問題です、十分に話し合う事が必要でしょう。何と言っても同盟と帝国が協力する事には反対する人が多い、そうではありませんか』
確かにその通りだ。ヴァレンシュタインの言葉にトリューニヒト、シトレが頷いた。顔を見合わせた後、今度はシトレが口を開いた。
「確かに君の言うとおりだ。今日も反対が酷かった」
『やはりそうですか……。しかし同盟より
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