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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第八十六話 余波(その2)
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化けが出てきたな、ブラウンシュバイク公」
「全くだ、昨日までなら地球? 一体何の冗談だと言っていたのだが……」
「同感だが冗談ではなくなった、そうだろう」
「うむ」

侯がチラっと視線を向けてきた。
「あの小僧、妙な事を言っていた……。そうは思われんか」
「妙な事か」
「うむ」

妙な事か……、全てが妙な事ではあるが……。
「侯が言っているのは改革が行われれば戦争はしづらい、その事かな」
「うむ…….どう受け取るべきか……」
お互い歯切れが悪い。

「妙な事はもう一つあるとわしは思う」
「と言うと」
「向こう側の出席者は国防委員長と宇宙艦隊司令長官だった、妙であろう」
「……なるほど、言われてみれば確かに……」
リッテンハイム侯が頷いている。確かに妙なのだ。

帝国に例えればエーレンベルクとオフレッサーが出てきた様なものだ。最高評議会議長、だったか、何故それが出てこないのか……。帝国側は我ら二人、言ってみれば帝国のトップを選んだ。にもかかわらず向こうは軍の代表者でしかない……。

格が釣り合わぬ、しかしそれに気付かぬとも思えん。第一、レムシャイド伯もそこに居たのだ、当然だが指摘しただろう。だが出てきたのはあの二人……。レムシャイド伯も同意しての選択と言う事になる。リッテンハイム侯に視線を向けた、侯もこちらを見返してくる。

「侯は偶然だと思われるか?」
わしの問いかけにリッテンハイム侯が首を横に振った。
「いや、それは有るまい。話の内容があれだ、偶然はない」

「うむ、と言う事は敢えてあの二人を選んだという事になる……」
「そうなるな。嫌がらせや侮辱でも無い、他に何か意図が有る……」
侯の眼には困惑が有る。おそらくはわしも同様だろう。

「誰の意図かな。会談の流れからすればどうやらヴァレンシュタインの考えのようだが……」
「おそらくはそうであろう、何らかの意図が有るのは確かだろうがどうにも読めぬ」
「全くだ」

妙な事は他にもある。あそこで話した内容は地球の事だったが亡命帝、晴眼帝にかこつけて和平、共存についても触れている。向こう側の二人は軍の代表者だ。今現在優勢に戦いを進めているのは反乱軍、にもかかわらず黙って聞いていた……。どうも妙だ。

リッテンハイム侯が溜息を吐いた。
「厄介な相手だ、常に主導権を握ってこちらを振り回してくる……」
「確かに、侯の言う通りだな、……レムシャイド伯に探らせるか」
「探らせるとは?」
侯が訝しそうな顔をしている。

「向こうに直接ぶつからせる」
「本気か? ニーズホッグに良い様に利用されかねんぞ」
目を見張った侯の表情が可笑しかった。思わず笑い声が出た。ずいぶん久しぶりに笑った様な気がする。

「構うまい、今のままでは訳も分か
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