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ダンデライオン
第二章

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「それこそな」
「吸血鬼か」
「東欧の方のな」
 そうした妖怪、悪魔の類だというのだ。
「だからな」
「それは違うか」
「違うだろ、血を飲んで壊血病にならないのならな」
 それこそというのだ。
「俺達も毎日みたいに飲んでな」
「それでか」
「完全にエスキモーになるさ」
「家もああしてか」
 スティーブはここでジョークも言った。
「そうしてか」
「ははは、そうなるかもな」
「若し金が出なくても」
「エスキモーになってな」
「ここで暮らすか」
 笑ってこうした話をしながら昼食を摂った、彼等の食事は朝も昼も晩もこうした感じだった。とかく肉が多かった。
 そうしたものを食べていてだ、スティーブの周りは。
 壊血病の者が日に日に多くなった、そして彼自身も。
 次第に身体の疲れを感じていた、それで言うのだった。
「俺もひょっとしたら」
「壊血病か?」
「それになってきたか御前も」
「そうだったいうのか」
「何か身体がだるいんだ」
 近頃、というのだ。
「ひょっとしたらな」
「身体に力が入らなくなってか」
「歯茎が腫れて歯が抜けて」
「それで死ぬか」
「そうかも知れないっていうんだな」
「寒いのはまだな」
 ここで自分の服を見て言う、アラスカの寒さに合わせたかなりの厚着だ。エスキモー達のそれと変わらない。
「この服でな」
「凌いでもな」
「壊血病はか」
「それはっていうんだな」
「ああ」
 その通りというのだ。
「そんな気がしてきた」
「おいおい、弱気だな」
「まだまだ大丈夫だろ」
「カンサスで鍛えてたんだろ?」
「それなら壊血病位何ともないだろ」
「そう思うがな、俺も」
 自分の身体の強さには自身がある、それでこう言えた。
 だがそれでもだ、不安を感じるのも事実で仲間達と夜飲んでいる時に言っているのだ。
「何かな」
「最近か」
「身体が辛いか」
「疲れてるんだな」
「働き過ぎか?」
 こうも思うのだった。
「そんな気もしてきた」
「そうか、まあ用心しろよ」
「あの病気はまずいからな」
「なったら危ない」
「だからな」
「わかってるさ、何とか金見つけてな」
 目的、それを果たしてというのだ。
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