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王道を走れば:幻想にて
第四章、序の3:旅立ちの日に
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てくれて有難う。・・・それでも、あの人達を近くで支援してくれる人なんて、ほんの一握りだよ・・・。本当に大丈夫なのかな・・・。
 ・・・ごめん、私の不安を一方的に聞かせちゃって。こんなの、駄目だよね」
「・・・」

 キーラは俯き加減で視線を逸らす。友に掛けるべき言葉を探っていると、コーデリアは常の優しげな笑みを浮かべて言って来た。

「私も王都に留まって、出来る限りの事をやってみる。こっちの事は心配しなくてもいいわ。無茶な命令なんて通させやしないから」
「有難う御座います。きっとケイタク様も、王女様のそういう溌剌さに、元気を頂いているのだと思います」
「そうだよね。あの人、根が凄く正直で前向きだから。そんな生き方が周りに勇気を与えたりするんだけど、逆だってある。落ち込んだり、悩んだりしたりね。でもそんな時こそ、周りが勇気を与えなくちゃ。ケイタクさんに勇気の一歩を踏み出してもらうために、私だって出来る事がある筈よ」

 直向な言葉にキーラは笑みを浮かべて、その一途さに僅かに曇った表情を浮かべた。胸の中に自然と湧いたもやもやとした思いが、絵画に落ちた一点の絵の具のように染み込んでいく。目の下に小さな力が篭ったしまい笑みが不格好となったのは一体何故なのか、自分自身で理解出来ぬ所がキーラにはあった。
 雰囲気の変化を感じ取ってか、コーデリアは態とらしく椅子から立ち上がりながら言う。

「・・・ちょっと、御姉様の御墓に行ってくる。私の勇気を伝えなくちゃ」
「・・・分かりました。では私は明日に備えて、先に休ませて頂きます」
「うん。お休み、キーラ」
「はい。お休みなさいませ、コーデリア様」

 コーデリアは笑みを浮かべながら部屋を出て、扉をそっと閉める。キーラの表情の俄かな変化に、一縷の勘ようなものが働いた。

(やっぱり、貴方もケイタクさんが好きなのか) 

 誰も居なくなった廊下を歩く。静かな表情のまま宮中を歩いていく。宮廷の中心部へ、一介の兵卒や侍女ならば立ち入る事すら禁じられるその場所へとコーデリアは向かう。このような夜中、しかも皆が寝静まった時間に歩いていしまうのは、自分自身そうそう行っていない行為でもあり、足取りは段々と音を消すようなものへと変化していく。
 松明を掛ける台の傍で立ち止まり、コーデリアは何気と無く周囲を見遣って見る。何故か胸がどきどきと弾んでしまい、妙な緊張感が生まれてしまう。普段歩き慣れた宮中は、夜の闇ではこんなにも静謐に包まれて、気品さを不気味さに変えるものとは知らなかったのだ。
 そうこう足を止めていると、目の前の曲がり角から見知った女性が現れてしまい、コーデリアは思わず口を噤んでしまった。侍従長のクィニである。彼女の顔が、鉄面皮のように見えてしまった。

「クィニ・・・」

 硬
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