第一部
第三章 パステルカラーの風車が回る。
サスケ
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に着地した二人は、暫くの間動けず、前かがみになった状態でそこに立っていた。
残虐な笑みを浮かべたままの我愛羅の右腕が、突如として瓦解した。砂色の腕が砂の塊となって崩れ落ちていく。ばちばちと掌に千鳥を迸らせたままのサスケの顔には、地虫のように呪印が這っていた。
「ぐぅうおおおぉおぅうううぉおおおおお……!!」
砂がまた溢れて、今度は我愛羅の左腕を覆った。余りの激痛に、我愛羅の膝は笑っていた。出し抜けに、サスケの掌の雷が消えうせ、サスケはばたりと前のめりに倒れた。
一瞬千鳥が弱まったその時、サスケは――呪印を発動させたのだ。
それを食い止めようとする意志があってこそ呪印を抑えられる封邪法印は、ひっくり返せば食い止めようとする意志を捨ててしまえば意味を成さなくなり、術を発動できるということだ。一時的にチャクラを増幅させることの出来るこの呪印を利用した苦肉の策だった。
呪印のある首の付け根に手を触れる。痛い。あまりの激痛に叫びそうになった。我愛羅の雄叫びが聞こえる。なんて化け物だろうか。あんなダメージを受けたはずなのに。襲い掛かってくる砂色の左腕を見ていることしか出来ない。
――体がっ……動かない……!
「うぁああああああああああああああああああああああ!!!」
しかし襲い掛かってくる我愛羅が、突然蹴り飛ばされた。誰かの足。オレンジ色。オレンジ色……
ナルト?
蹴り飛ばされた我愛羅が一本の木を打ち砕き、もう一本の木に深い爪痕を残してなんとか木の上に留まった。
「サスケくん!」
サクラの声が耳に入る。こちらを覗きこむサクラの桜色の髪と、こちらに背を向けて立つナルトのオレンジ色が、ひどく鮮やかに映っている。
うざいとしか思っていなかった少女の目が、
ドベでウスラトンカチだとバカにしていた少年の背が、
こんなにも美しく、
そして、こんなにも力強く見える日がくるなんて。
安堵と、そいつは危険だと警告しい気持ちが混ざり合う。
孤独の臭いのする少年達が戦う場に新たに現れたのは、もう一人の孤独の臭いのする少年と、非力な一人の少女だった。
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